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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

A Home to Exclusive Watch Stores That Offer Experiences Available Nowhere Else

篠田 哲生

銀座は世界でも稀な“時計の街”。ラグジュアリーメゾンや時計ブランドのブティックもあれば、名品ばかりを集めた正規時計販売店もあり、さらにはアンティークウォッチの名店もある。時計に関しては、ないものはない状態なのだが、GINZA SIXは一味違う。なぜなら“時を愉しむ”ことができる、唯一無二の時計店があるのだ。世はモノ消費からコト消費へと移行しているといわれるが、GINZA SIXなら“モノ”も“コト”も両得できるのです。

さて、まず足を運ぶのは6階。6階といえば「銀座 蔦屋書店」でお馴染みですが、時計愛好家はその端っこに向かう。書店内にある「RICHARD MILLE LIFESTYLE LABORATORY」は、数千万円クラスの時計しか製造しない極みの時計ブランド「リシャール・ミル」のプロモーションストア。“ストア”と言いつつ時計は販売せず、世界各地で行われているリシャール・ミル関連のイベントや活動を発表する世界唯一のスポットなのです。

なにせリシャール・ミルは、テニス、陸上、F1、ゴルフなどで活躍するアスリートと“ファミリー”になっており、さらに自動車イベントや現代アートのサポートも行う。そういった多岐にわたる活動を知らしめるのが、この「ライフスタイル ラボラトリー」の役目です。取材日は主催者であり、メインスポンサーを務めるクラシックカーレース「ル・マン・クラシック」をディスプレイ。これはブランド創業者であるリシャール・ミルさんが、世界的クラシックカーコレクターであったことから始まったイベント。僕もフランスのご自宅にお邪魔したことがありますが、納屋を改装したガレージに、数十台もの名車が収まっていたっけ。そこで一番驚いたのは、超名車ランチア・ストラトスで近所にパンを買いに行くというエピソード。ドアのヘルメットボックスがバゲット入れにちょうどいいんだよねーという、超ハイエンドなあるある話を聞いたことを思い出しました。

ちなみにこの展示は、数日後には展示がゴルフへと変更されるそう。ブランドの勢いと活動の最前線を知るには、ここをチェックするのが一番。そして万が一時計も欲しくなったら、近隣にある2つのブティックにGO!である。(本当にそうやって購入した人もいるんだって)

さて続いては、一階に戻って「CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYO」へ。店舗は三原通りと交詢社通りの交差点に位置しており、館内から直接アクセスできないレイアウト。しかしそのおかげで広々とした店内には落ち着いた雰囲気があり、ゆったりと時計の説明を受けることができるのは大きなメリットです。

ここではシチズンブランドだけでなく、傘下に収めた海外の時計ブランドも展開中。実はシチズングループはグローバル化を進めており、スイスやアメリカの有力ブランドを含めた、幅広い時計を扱っています。

その中でも注目は「アーノルド&サン」。実はここが世界唯一のブランドブティックなのです。ブランドのルーツは18世紀末のイギリスにあり、船舶用の海洋高精度時計の量産化に成功した時計師ジョン・アーノルドとその息子が確立した時計作りのノウハウを受け継いでいます。

アーノルド&サンの他にはない特徴は、1モデルに対して1ムーブメントを採用していること。そのため機構とデザインが完璧に連動しています。こういったディテールに萌えるのが、時計マニアの性。しかも年間で700~800本しか製造していない希少品のため、こうやって手に取って鑑賞できるというのも極めて貴重な経験になるのです。

こちらが今年の新作グローブトロッター(¥1,780,000 ※以下全て税抜価格)。なんと半球状の地球儀が24時間で一周して、世界中の現在時刻を表示するという仕組み。個性的で独創的なメカニズムを堪能できます。

シチズン横のエスカレーターで2階に上がり、最後に「FRANCK MULLER GENEVE」へ。フランク ミュラーといえば、さほど時計に詳しくない人にとっては“華やかなデザインの時計ブランド”であり、時計愛好家にとっては“数々の複雑機構を作ってきた実力派”という印象でしょう。しかし僕にとっては“時を楽しむブランド”。時針がジャンプしたり、針が止まったり、ルーレットを組み込むなど、流れる時間を楽しみ、人生を謳歌しようというポジティブな哲学を持ったブランドなのです。

ここで見て欲しいのは、ブティックの奥にあるホームコレクション「フランク ミュラー フューチャー フォーム」のコーナー。

実はフランク ミュラーでは“時を楽しむ”という哲学を拡大させ、自宅でのリラックスした時間を充実させるホームコレクションにも力を入れています。オンラインでも購入できますが、ここならほぼフルコレクションを見ることが出来る。これも世界唯一です。

時計のインデックスに使っているビザン数字をモチーフに使っているので、誰もが「フランク ミュラー」だとわかる。そのためギフト需要の人気も高いそう。ちょうど最近結婚した友人へのお祝いを探していたので、シャンパングラス(¥17,000)をチェック。数字はサンドブラストで加工しています。

もちろん時計はメンズモデルもレディスモデルも充実。しかし普通の時計店では見かけることのない超高額な複雑時計も陳列しています。

ちなみに今回拝見したギガ トゥールビヨンは、なんと3,100万円!! トゥールビヨンという機構は、重力の影響をキャンセルするために脱進機というパーツ群を丸ごとグルグル回転させる機構であり、その動きにほれ込む人が多い。しかもこのモデルは、構造が丸見えのスケルトン設計になっているので設計も製造も組み立ても超困難。こういった希少な時計を見られるというのも、特別な体験です。ちなみにこういったレベルの時計は奥のVIPルームで接客するとのことなので、取材にかこつけてVIPルームに潜入。特別に名物のマロングラッセやシャンパンも出してもらいました。

最後は併設する「フランク ミュラー パティスリー」でお買い物。これを差し入れとして取材先に持っていくと喜ばれるんですよね。

太陽や月から生まれた”時間“という概念を歯車とゼンマイで再現する機械式時計は、人類が生み出してきた最高峰の機械でした。なので、ファッション的につけて楽しむだけでなく、知るという楽しみもある。GINZA SIXは知的時計好奇心を満たしてくれる場所であり、“時間とは何か?”という答えを教えてくれるのです。

Text:Tetsuo Shinoda Photos:Yoshinori Eto Edit:Yuka Okada

GINZA SIX EDITORS Vol.51

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篠田 哲生

“青少年のバイブル”こと講談社『Hot Dog・PRESS』を経て独立。時計専門誌からファッション誌、ビジネス誌など、40を超える媒体で時計記事を企画・執筆する。時計専門学校を修了した実践派でもあり、年に数回のスイス取材も行う。著書に『成功者はなぜウブロの時計に惹かれるのか』がある。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

リシャール・ミル ライフスタイル ラボラトリー(銀座 蔦屋書店内)

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シチズン フラッグシップ ストア トウキョウ

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フランク ミュラー ジュネーブ

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2018.08.03 UP

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