For the Love of Italy 郷愁が生んだイタリアの香り
ACQUA DI PARMA
Beauty
ACQUA DI PARMA | B1F
イタリア語で“パルマの水”を意味する「アクア ディ パルマ」。名が表す通り、カルロ・マニャーニ男爵が1916年にパルマで創業した老舗フレグランスブランドだ。当時、仕立て文化のメッカだったロンドンをしばしば商用で訪れていた男爵が、暗くて寒いロンドン生活の中、光溢れるイタリアを恋しく想い、自分のための香りを創ったのが始まりだった。それが周りの人たちにも気に入られ、また仕立てたスーツに香りを忍ばせたことで顧客にも人気が出て、製造販売するに至った。そんな誕生秘話を語ってくれたのは同社会長兼CEO、ローラ・ブルデーゼ。
「つまり、アクア ディ パルマは創業者のイタリアへの愛から生まれたのです。ベルガモットや柑橘類などのイタリアらしい香りや、イタリアの太陽や建物の色を連想させる黄色のパッケージをはじめ、ここにはイタリア的な要素すべてが詰まっています。そして今でも製造のほとんどはパルマの工房で行われており、まさに究極のメイド・イン・イタリーでもあります」
世界的ブランドでの要職を経て、2016年よりアクア ディ パルマ会長兼CEOを務めるローラ・ブルデーゼ。
創業者の異国での寂しさをこの香りが癒したように、ステイホーム中の顧客たちは、同社製品でケアをすることで自身を労わっていたようだ。スキンケア製品やルームキャンドルなどのシェアは、コロナ禍において大きな伸びを見せたという。
「決まった香水だけを長年使う人が多い欧米では、フレグランスは人に会うときの名刺代わりと思われがちですが、香りは本来自分自身が心地よくあるためのもの。多くの時間を家で過ごす中、自分を見つめ直し、香りで自分自身を労ることの大切さに人々が気づいたのだと思います」とローラ。
製品には19世紀にパルマを統治していたマリア・ルイーザ、パルマ公爵夫人の紋章が。
ミラノ本店に飾られた職人技を物語る写真たち。
そんなご本人は、「人生の70%は出張」という生活から、家で過ごす多くの時間ができたことで、家族、そして人との触れ合いの大切さを改めて感じたと語る。同時に自分は500人の社員とその家族の運命を背負っているのだという責任感を再認識したとか。
「会社としてもこの機会に無駄なコストを省き、デジタル化を進める一方で、これまで以上に顧客に寄り添うサービスを目指すなどのリスタイリングを図りました。サステナブル活動やコロナで苦境に陥っている人たちへの支援活動にも力を入れています。また改めてブランドのルーツに重きを置き、エレガンス、あたたかさやリラックス感といったイタリアらしいライフスタイルの提案に注力しています」
高級ショッピング街に位置するミラノ本店。
そんな思いはGINZA SIXの新店舗にもつながる。同店はブランドカラーの黄色を各所に効かせ、イタリアらしい明暗法を活かしたミラノ本店と同じ雰囲気で作られている。
「GINZA SIX店では、単なる売り場としてではなく、イタリアの家に招かれたような気分を味わっていただきたいですね。太陽を連想させる黄色が皆様をポジティブにし、イタリアらしい香りとあたたかさで包みこむような場所であってほしいのです。しんどい時期だからこそ、ぬくもりが必要なのではないでしょうか」
ジェンダーフリーのフローラルで繊細なスズランの香りがここから先の再生のよろこびを思わせる“アクア ディ パルマ シグネチャー リリー オブ ザ バレー オーデパルファム”(100ml)¥35,200/アクア ディ パルマ(B1F)
Interview with Laura Burdese
CEO & President
Text: Miki Tanaka Photos: Tomoyuki Tsuruta Editing Direction: Yuka Okada(81)