「A Tree」 Phase2 作品完成記念6組のデザイナーが集結したスペシャルなトークイベントに潜入
「A Tree」 Phase2 作品完成記念 6組のデザイナーが集結した スペシャルなトークイベントに潜入
GINZA SIXと設計事務所〈DAIKEI MILLS〉との3年にわたるアートプロジェクト「A Tree」。2025年秋より展開されているPhase2では、国内外で活躍する6組のデザイナーが吉野杉の無垢材を活かした作品を製作。デザイナーそれぞれが奈良県の吉野の森や林業の現地で感じたインスピレーションをもとにデザインした椅子が館内を彩り、訪れる人に新たな発見をもたらしている。先日、Phase2の作品が出揃ったのを記念し、雑誌『Casa BRUTUS』との共催によるトークセッションが開催された。同プロジェクトのリーダーを務める〈DAIKEI MILLS〉代表の中村圭佑さん、『Casa BRUTUS』編集長の西尾洋一さんをナビゲーターに、6組のデザイナーが集結。一夜限りのスペシャルなイベントの様子をお届けします。
GINZA SIXに、
吉野の森が出現?!
GINZA SIX6Fにある銀座 蔦屋書店のGINZA ATRIUMに設置されたイベントステージ。会場には吉野杉を使ったスツールが円形に並べられ、登壇者の周りをぐるりと取り囲むように来場者が着席。「まるで森の中で話しているような会場構成ですね。座ってみて、なるほどと感心しました」と、西尾洋一編集長の言葉が示すように、銀座の真ん中から突然、吉野の森に誘われたような和やかな空間が広がります。「デザイナーたちとお客様との一体感を出したい」という中村圭佑さんの想いと吉野杉というプロジェクトのテーマを具現化したステージ演出に来場者の期待も高まります。
3部構成で行われた今回のトークイベント。中村さんと西尾編集長による対談で第一部が開幕しました。「A Tree」プロジェクト全体の概要が説明され、吉野杉に焦点を当てた背景や、2025年春よりスタートしたPhase1の様子を丁寧に振り返りました。
西尾編集長から吉野杉の特徴についての質問が投げられると、「実は僕の後ろに最重要人物がいらしているので」(中村)と、協業者の一人である豊永林業株式会社の永田さんが急遽飛び入り参加。「吉野杉は密植多間伐といって、一般的には1ヘクタールに2,000〜3,000本の苗を植えるのですが、吉野の場合は8,000〜10,000本の苗を植えます。そうすることによってゆっくりと成長し、真っ直ぐで強度の高い、美しい年輪の杉が生み出されます」と、吉野杉の特徴を取り上げながら、約500年の歴史を持つ吉野の人工林の営みや林業に携わる生の声も聞かせてくれました。
イ・ファチャンさん(左)とメン・ユミンさん
今回のプロジェクトでは、スターデザイナーから今後の活躍が期待される若手までの総勢6組が参加。
東京を拠点に活動し、作品名にオノマトペを用いるなど音への哲学を持つSiin Siin(シーン・シーン)。ソウルを拠点とするイ・ファチャンとメン・ユミンによるインダストリアルデザインスタジオKUO DUO(クオ・デュオ)。栃木県に生まれオーストリア、イタリアにルーツをもつRio Kobayashi(リオ・コバヤシ)。
メキシコ・グアダラハラを拠点に活動する家具・プロダクトデザイナーFabien Cappello(ファビアン・カペッロ)。現代デザインシーンの中心人物として注目を集めるMax Lamb(マックス・ラム)。インテリア・ホームウェア・美術・ファッションをまたぐ多彩な表現を行うFaye Toogood(フェイ・トゥーグッド)。
デザイナーたちはそれぞれ奈良県吉野林業地帯を訪れ、数日間滞在。実際に山に入り、素材の原点である森を体験し、林業や製材に関わる人々と交流し、木材が育つ長い時間軸から得たインスピレーションを基に自由にプロダクトを制作。各デザイナーに与えられたのは、高さ約20~25mの一本の丸太。Phase2ではそのうち約5mを使って自由にプロダクトを制作し、その後のPhase3では、残りを使って小さな建築に挑戦してもらう。Phase2の作品が完成し、GINZA SIXの3F~5Fに2組ずつ、彼らが自由に発想して制作した椅子やベンチが設置されている。
「マテリアルへの興味、プロセスを重要視しながら、思想を持ってものづくりをしている作家たちに声をかけました。そしてご覧になった方はわかると思いますが、本当に6組それぞれが多種多様な表現を見せてくれました」と、中村さん。各デザイナーからプレゼンを受け、新しい発見もあったと言う。
「杉素材の削る幅をミリ単位で細かく検証したエクセル表を提出したマックスや、森で得たインスピレーションをポエムとドローイングにしたためたフェイ。大正時代の文献や資料から紐解いたシーン・シーン、公共の場で実際に使われることに重点を置いたクオ・デュオ、自身のアイデンティティを掘り下げ素材と向き合ったリオ・コバヤシ、『座る』という行為とパブリックな体験を真摯に掘り下げたファビアン・カペッロ。と、アプローチはもちろんプレゼン方法から6者6様。こうきたか!という驚きの連続で企画構想の段階からとても楽しませてもらいました。そうして完成した作品にはイメージ以上の多様さが表現されていました」(中村)
中村さんから今回参加したデザイナー陣が紹介されると、いよいよ世界中からこの日のために集結した6組のデザイナーたちが登壇しました。
多彩なアプローチで魅せる
6組のデザイナーたち
第2部では、ナビゲーターである中村さんからの問いに応えるかたちでデザイナーたちの熱いトークセッションが展開。
「A Treeは長い時間をかけて育てていくプロジェクトです。デザイナーたちは素材の源流の地に行き、素材の選別や製材から携わる。実際に完成したプロダクトをこの場所で人々に使ってもらう。そして3年間をかけてPhase1、Phase2、Phese3と展示自体が進化していく。こういったロングタームの企画に参加する醍醐味、面白さをどう捉えているか、その辺りから聞いてみたいと思います」と、中村さん。
まずはシーン・シーンさんが答えます。
「今回使わせてもらった杉の樹齢が大体120年から130年というふうにお聞きして、その長い時間軸を持った素材と向き合うことに魅力を感じました。僕自身がその時間に介入して、その後、プロダクトとして加工され、こういった場所に置かれて使われていく。その一本の木が持っている長い時間の途中に自分が介入しているような感覚があって、そこに向き合いたいなと考えていました」(シーン・シーン)
「伐木時に根元が大きく裂けていた木をあえて選択したのですが、家具作りには不向きとされている割れた木材にダイナミックな魅力を感じたんです。『間割(けんわり)』と呼ばれる伝統的な斧の技法で木を割り、現代林業の現場で用いられる重機の部品をモチーフにしたステンレス製のジョイントパーツを制作し、結合。プロジェクトへの参加にあたり、大正時代に書かれた古い文献を参照したのですが、本が出版されたのがちょうど木が植えられたのと同時代。最初は資料として読んでいる感覚でしたが、目の前にある木が、本が出版された頃に植えられたものだということに気づいて、植えられたその瞬間に思いを馳せることができたのもとても魅力に感じました」(シーン・シーン)
素材への飽くなき探求心からものづくりを組み立てるマックス・ラムさんは、あらゆる素材を用いて素材本来の性質を引き出す作品が特徴。その結果として生まれる作品は、触覚的で力強く、機能性と芸術性が融合したユニークな存在感を放つ。今回のプロジェクトでも、「作るプロセス」を重視し、素材の魅力を最大限に引き出すことを目指したと言う。
「今回は樹木そのものに着目し、一本の丸太から最小限の加工で椅子を製作しました。今回制作した<Cedar is a Soft Wood>は大谷木材の大谷さんと彼のバンドソーによって生まれたプロジェクトです。極めてシンプルに、真っ直ぐ美しくカットする大谷さんのバンドソーの技術は、かっこよくて正確で、大変衝撃を受けました。完成までに繰り返されたリサーチと実験、そこに費やす時間とプロセスは膨大でしたが、そのひらめきは一瞬。森の営みに耳を傾け、真のマスターたちの仕事を間近で観察できることは、僕にとってこの上ない学びと喜びの時間でした。丸太に細い切り込みを入れることで硬い木材に柔軟性と快適さが生まれる。このたった一つの最低限のアクションによって一枚の杉の素材が変化する面白さも感じてもらえると思います。
吉野の地での人々との出会い、そこで彼らが教えてくれたこと、共に過ごした時間がすべてであり、あの地で感じたことが何よりも重要なインスピレーションとなりました」(マックス)
マックスさんの話をうけ、「僕自身、仕事や研鑽をする上で、新しい人との出会いや共有する時間を何よりも大切にしているので、まさに今回のプロジェクトに挑戦できてよかったです」と、中村さんも感極まった様子。
一本の丸太をテーマに、
6組のプロダクトが勢揃い
デザイナー全員がそれぞれ吉野の山を訪れ、マテリアルの原点に触れ、そこに関わる人たちと多くの時間を費やした今回のプロジェクト。このように長い時間をかけて協業することは彼らにどのような価値や体験をもたらしたのだろうか?
18歳までを栃木県の益子で過ごし、その後は海外を拠点に活動をしているリオ・コバヤシさんにとって、今回の奈良訪問は改めて日本を知る貴重な時間にもなったと言う。
「僕は益子以外ほとんど知らずに日本を出てしまったので、故郷でありながら異国感も感じたというか、とても新鮮な経験でした。それは郷愁ではなく、距離と西洋的視点によって再構築された“帰還”。木の外側を内側に使うアイデアは、海苔を反転させることで文化の違いを乗り越えたカリフォルニアロールに着想を得ました。山では実際にチェーンソーで木を伐る作業もさせてもらって、約20mの大木ですから、倒れる方向が数センチずれると大変なことになる。生と死の闘いに対峙したというか、マテリアルへのリスペクトを感じると同時に自然や生命そのものの原点に戻るような感覚もありました。幹の部分は静謐としていて、上を見るとゆらゆら梢が揺れている。そういうある種のスピリチュアルな感覚も今回のデザインに落とし込んでみました」(リオ)
「山の入り口には小さな祠があり、山に入る前には必ずお祈りをするなど必要な作法がある。僕も吉野の山に入って何より強く感じたのは、神聖な山に対する地元の方々の自然に対する畏敬の念です」と振り返る中村さん。そういったスピリチュアルな背景を、デザイナーたちも敏感に察知したと口々に語る。
「ものづくりとスピリチュアリティは切り離せないものだと思っています。デザイナーは孤立したエゴでものを作るのではなく、物事を変換するファシリテーターでなくてはなりません。自然のような人間を超える現象と向き合って抽象化して表現する能力こそが、人間性を定義するもの。土地の文脈を理解し、その美しいエネルギーをチャネリングすることで、素材の原点を理解し、ものを作り出すことへの責任感が生まれます」と、ファビアン・カペッロさんは言う。
またフェイ・トゥーグッドさんも、「吉野の山を訪れた際、森の静けさに満ちた精神的な気配に強い印象を受けました。私の役割は、ものに人間性や詩的な感覚を吹き込むことだと考えています。デザインを社会への“贈り物”と捉え、人々が作品と関わることに喜びを感じます。奈良の森でのスピリチュアルな体験や動物たちから着想を得て、物語をフォルムに込めました」と振り返る。
彼女は杉の枝を風が渡る音に耳を澄ませながら、一本の大きな木が、その長い生のあいだに森のまわりから何を聞き、何を学んできたのだろうかと想像し、森で感じた動物たちの動きや気配を水彩画に描いた。そこから生まれた「FIVE SPIRITS, ONE SUGI」と題したシリーズは、彼女が子どもたちに読み聞かせるために思い描いた物語でもある。
機能的な「製品」としての視点と、
体験を贈る「アート」としての視点
デザイナーそれぞれのユニークなデザインプロセスと作品の背景を明らかにしながら、話題は美術館やホワイトキューブとは異なる場所での展示だからこそ生まれた新しい価値観へ及ぶ。今回中村さんは、「GINZA SIXという商業施設で発表することに対して各デザイナーがどのようなアプローチで臨んだか」という点にも注目していたと言う。
今回、どの作品よりも大きくて存在感のある18名が座れるベンチを完成させ、与えられた約20~25mの丸太をほとんど使い切ってしまったファビアン・カペッロさん。「Phase3、大丈夫?」と心配されると、「ルールを守るのがあまり上手じゃないので……」と苦笑い。
「私がデザインしたこのベンチは、GINZA SIX において、『座る』という行為をパブリックな体験へと変えるものです。一本の木を用いて多くの人が快適に座れるベンチをつくることは可能なのか。また公共空間におけるベンチにおいて、どのように快適さや人を招き入れる感覚を育むことができるのか。そうしたいくつかのシンプルな問いを探っています。自分がデザインした家具が実際に人々に使われ、交流が生まれる様子はとても感動的でしたし、今回のプロジェクトの中で、もっともエキサイティングな経験でした。本当はもっと大きなベンチになる予定だったんですけどね(笑)」(ファビアン)
そんな彼の思惑を見事に体現するように、館内に設置されたファビアン・カペッロさんのベンチはイベント前の時間もお客様でいっぱい。偶然そこに居合わせた人々が肩を並べ、適切な距離を保ちながら思い思いに休憩時間を過ごしていた。
下:KUO DUOのイ・ファチャンさん
クオ・デュオの二人は、「まず私たちは、作品というより製品だと考えています」と明言しながらこう続けた。「切り株はかつての成長の始まりの部分であり、伐採後には静かな終わりの痕跡としてそこに残ります。この生と時間の二つの軸から、GINZA SIXの空間に切り株が点在する光景を想像し、訪れる人々に休息や再生、そして静かな思索のひとときを提供する場を描きました。私自身、ショッピングではエネルギーを使うので、休憩時間を大切にしています。そのために使う人の用途を限定せず休憩も楽しい体験になるように、回転する椅子や座る向きを特定しないベンチをデザインしました」(イ・ファチャン/クオ・デュオ)。
また実際に使われる光景を目の当たりにして、自分たちのデザインとは意図しない新しい発見があったとも言う。
「特に楽しかったのはデザインによって人々の行動が違っていたことです。私たちの椅子をカバン置きにしていたり、フェイさんのシカのチェアの角の部分を傘掛けにしていたり。デザインによって人のアクティビティが違っていて興味深かったですね。プロダクトデザインにおいて一番喜びを感じる瞬間は、人々がそのものをどうやって使っているかの様子を見ることだと思うので」(イ・ファチャン/クオ・デュオ)
「作品と製品」という言葉に強く惹かれた中村さん。フェイさんにも同じ問いを投げかけてみた。
「これは面白い質問ですね。多くの人が私たちをデザイナーやアーティストとして紹介します。自分自身にとっては不必要な肩書きであっても、このラベルは一般的に非常にわかりやすく機能します。けれどアートであろうとデザインであろうと、その隙間を広げて境界線を曖昧にすることが私は楽しいのです。商業施設で人々が自分の家具に関わってくれるのを見るのは魔法のような瞬間ですし、デザインとは人々へ向けた体験としてのギフト。デザインは、未来の社会や次の世代への贈り物だと思っています」(フェイ)
デザイナー同士、
互いに感銘を受けたPhase2
そしてPhase3へ
第3部に入ると、質疑応答の枠を超えデザイナー同士が意見を交換し合うインタラクティブなトークを展開。他のデザイナーの話に熱心に耳を傾け、積極的に話題が飛び交う様子がとても印象的だった。デザイン界のスターたちが一堂に介したトークショーは来場者にとっても夢のように贅沢な時間となったが、デザイナー自身にとっても、お互いの作品を体験することができる貴重な時間となったようだ。
西尾編集長が、自身の作品を実際に人々が使っている様子や他のデザイナーたちの作品への感想を聞くと、皆前のめりに感想を語り合った。
「森で出会った人々、道具、動物たち、木々のざわめき……。このプロジェクトを通して一人ひとりが体験したすべてが詰まっていて、とても面白かったですね」(ファビアン)
「同じテーマと同じ素材、一本の木から生まれた作品がこれだけ違うというのが面白い。同じ空間や体験を共有しても、6組のデザイナーの解釈やアプローチがまったく異なるのだなと、それぞれが見ている世界、その表現が実に多様でとても興味深かったです。そして何よりこの場所を訪れるお客様にとっても魅力的な体験になると思います。まさにGINZA SIXと〈DAIKEI MILLS〉が掲げる商業施設における作品のインタラクションが体現された素晴らしい機会だと思います」(フェイ)
「フェイさんの言う通り、実際にGINZA SIXで使われている様子を見られたのはとてもエキサイティングでしたね。各々の異なるアプローチが集合し、みんなで一つの場を作り上げるという体験もとても興味深かったです」(マックス)
「他のデザイナーの作品に大いに感銘を受けました。吉野の森からも学び、今日のこの場でデザイナー陣からも学び、今回のプロジェクトではたくさんの学びがありました。そして今日の体験が、Phase3へ向けての新たなインスピレーションにもなりました」(メン・ユミン/クオ・デュオ)
「同じ素材に対してみんな別々のアプローチをしていたので、他のデザイナーさんたちとの比較によって自分が興味を持っていることがより明確になるような感覚がありましたね。特にマックスさんの作品はプロセスへの視点がすごくあると思うんですけど、彼の場合は自分が手を動かす身体性や素材に対する深い知識みたいなところが作品の魅力になっているように感じます。一方私の場合は、興味が他者に向かっていたんだなという気づきがありました。生産やそこに関わる人々、通常そこで排除されているような揺らぎや痕跡みたいなところに自分は興味があるということを再認識できる機会になりました」(シーン・シーン)
「日本の伝統文化との協業に興味があるデザイナーは多いと思いますが、その世界に深くコミットするのは意外と難しいと感じていたんです。ですが今回のプロジェクトのおかげで道が開けたと感じています。中村さんのように、デザイナーと企業や伝統工芸の世界の橋渡しをしてくれる存在というのはこれからもっと重要になっていくと思います」(リオ)
「確かに私が拠点にしているグアダラハラでも後継者不足による斜陽産業は問題になっていますし、これは全世界共通の課題だと思います。どうしたら経済とコミットできるか?そして超越できるか?課題があるということは、そこには可能性とチャンスがあるとも思うのです」(ファビアン)
伝統工芸とのコラボレーションやデザイン業界でも逃れることのできないAIとの付き合い方まで、最後まで話題は尽きない。6組それぞれの話を聞いた中村さんも、「感無量です」と噛み締めながら、最後にこう締めくくりました。
「同じ素材に対してみんな別々のアプローチをしていたので、他のデザイナーさんたちとの比較によって自分が興味を持っていることがより明確になるような感覚がありましたね。特にマックスさんの作品はプロセスへの視点がすごくあると思うんですけど、彼の場合は自分が手を動かす身体性や素材に対する深い知識みたいなところが作品の魅力になっているように感じます。
一方私の場合は、興味が他者に向かっていたんだなという気づきがありました。生産やそこに関わる人々、通常そこで排除されているような揺らぎや痕跡みたいなところに自分は興味があるということを再認識できる機会になりました」(シーン・シーン)
「日本の伝統文化との協業に興味があるデザイナーは多いと思いますが、その世界に深くコミットするのは意外と難しいと感じていたんです。ですが今回のプロジェクトのおかげで道が開けたと感じています。中村さんのように、デザイナーと企業や伝統工芸の世界の橋渡しをしてくれる存在というのはこれからもっと重要になっていくと思います」(リオ)
「確かに私が拠点にしているグアダラハラでも後継者不足による斜陽産業は問題になっていますし、これは全世界共通の課題だと思います。どうしたら経済とコミットできるか?そして超越できるか?課題があるということは、そこには可能性とチャンスがあるとも思うのです」(ファビアン)
伝統工芸とのコラボレーションやデザイン業界でも逃れることのできないAIとの付き合い方まで、最後まで話題は尽きない。6組それぞれの話を聞いた中村さんも、「感無量です」と噛み締めながら、最後にこう締めくくりました。
「本当にやってよかったですね。今回、自分はデザイナーとして参加するよりも一歩引いた立ち位置でこのプロジェクトに参加しました。関係者の皆様のご協力により長期間かけて構築され、GINZA SIXの理解と支援が大きな推進力となっています。これは日本のデザインシーンに対する存在意義も含めて非常に責任のあるプロジェクトだと感じていました。それぞれのアプローチのユニークさにまずは心踊らされ、実際それを使ってくれるお客様の顔や人々の使い方によって機能が変化することを目の当たりにして感動しました。今回Phase2の作品設置が完了したタイミングでこのような場を設けられたことも、見え方も含めて非常に学びが多く、素晴らしい試みだと実感することができました」(中村)
「そしてこのプロジェクトはまだまだ終わりません。これから始まるPhase3では、インタラクションの幅を増やすことが一つの目的です。お客様がここを訪れて座れる、使えるというPhase2の段階を経て、次は新たなインタラクションが生まれる装置を作っていくというプロセスになります。施設全体としてさらなる盛り上がりを作っていきますので楽しみにしていてください。Phase3でも引き続きデザイナーの皆様にはエンジンをかけていってほしいと思います」(中村)
6組のデザイナーたちの真摯なものづくりと熱い言葉に彩られ、たくさんの学びと気づきに溢れた3時間に及ぶトークショー。Phase3へ向けた期待が高まったところで、幕が閉じられた。
「そしてこのプロジェクトはまだまだ終わりません。これから始まるPhase3では、インタラクションの幅を増やすことが一つの目的です。お客様がここを訪れて座れる、使えるというPhase2の段階を経て、次は新たなインタラクションが生まれる装置を作っていくというプロセスになります。施設全体としてさらなる盛り上がりを作っていきますので楽しみにしていてください。Phase3でも引き続きデザイナーの皆様にはエンジンをかけていってほしいと思います」(中村)
6組のデザイナーたちの真摯なものづくりと熱い言葉に彩られ、たくさんの学びと気づきに溢れた3時間に及ぶトークショー。Phase3へ向けた期待が高まったところで、幕が閉じられた。
[CREDIT]
- Photos:
- MEGUMI
- Writer:
- Chisa Nishinoiri
- Web design:
- Tomohiro Tadaki [Thaichi]
- Edit & Produce:
- Hitoshi Matsuo [EDIT LIFE], Rina Kawabe [EDIT LIFE]

















