GINZA SIX EDITORS
ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。
男子にこそ体感してほしい「楽しすぎる」メンズファッション3選 Three Way-Too-Fun Men’s Fashion Selections Men Need to Experience
村上 要
国内・海外でメンズ・ファッションを取材するようになって早10年。特にミラノやパリ、東京のファッションショーは毎シーズン楽しくって仕方なく、常日頃「この楽しさを、1人でも多くの人に伝えたい!」と思いながら仕事をしています。だからGINZA SIXでブラブラしたいのも、そんな「ファッションの楽しさ」を教えてくれるデザイナーズ・ブランドのブティックです。
「モスキーノ」はジェレミー・スコットがクリエイティブ・ディレクターに就任して以来、僕が思う「ファッションの楽しさ」をどこよりも強く、そして色濃く体現しているブランドです。
特に、一時はファッショニスタの保有率が3割(推定)を超えていたiPhoneケースは、お小遣いが限られた若年層にも装うことの楽しさを伝え、電話をするたびにウキウキしたり、友達との会話が盛り上がったりとエモーションやコミュニケーションのきっかけになりました。
GINZA SIXの店舗は、世界に3つと言うバイカーズジャケットを模した巨大な棚が鎮座していたり、ショーケースには段ボールで作ったクマさんのレザーポシェットが並んでいたり、やっぱり「ファッションって楽しい!」という感覚を体験できます。
クマのポシェットは、レザーで段ボールのウネウネを表現するなどこだわる一方、それを“テキトー”を装いデコボコにカットしています。怒られるかもしれませんが、「一生懸命、バカやってます」。こんな「一生懸命なおバカ」って、「ファッションって楽しい!」を一番効果的に伝える方法だと思っています。
「ケンゾー」もまた、「ファッションの楽しさ」を一生懸命伝えようと奮闘するブランドです。
数年前「KENZO」のロゴとタイガーのモチーフをあしらったスウェットを世に送り出した時、クリエイティブ・ディレクターのウンベルト・レオンにインタビューして以来、すっかりこのブランドの虜になっています。
今でこそロゴは「インスタ映え」するアイテムとして溢れていますが、まだ決して多くなかった頃にロゴアイテムを打ち出した理由を尋ねるとウンベルトは、彼の学生時代のことを教えてくれました。「田舎の大学に通っていた僕にとって、90年代のロゴTシャツは憧れだった。そして初めて袖を通した時、『あぁ、これで僕もオシャレな人たちの仲間入りだ』って興奮したんだ」と彼。ロゴスウェットは、オシャレをしたいけれどよくわからない、でも、みんなには認めてもらいたいイマドキ男子にそっと手を差し出しているのです。袖を通すたびに自信が持てる一着。ファッションの力を再認識させてくれます。
「アンダーカバー」は、「モスキーノ」や「ケンゾー」に比べると、雰囲気がちょっと違うかもしれません。でもこのブランドは、ジョニオさん(デザイナーの高橋盾さん)の、自然体だからこそ時流に即したスタンスが実に心地いいんです。
例えば17年春夏は「即興」を意味する「IMPROVISATION」がテーマでした。それは奇しくも「着たいように着る。洋服の解釈は、着る人本人に委ねる」と言う昨今の考え方(我々はこれを「スポンテニアス」と呼んでいます)と重なるものでした。ジョニオさんのコレクションを見ていると、今の社会や、今を生きる男が洋服に求めるモノが見えてきます。
GINZA SIXのショップでは、2016年にスタートしたジョニオさんがパーソナルに着たいライン「ザ・シェパード アンダーカバー」が並んでいました。胸には、「アンダーカバー」らしからぬ(!?)、カワイイ羊のモチーフ。大人の男は、自然体で、こんな洋服に袖を通すことが楽しいんです。
他にギフトにぴったりの小物も、みんなに「ファッションの楽しさ」を教えてくれますよ。
Text:Kaname Murakami Photos:Naoki Yamashita Edit:Yuka Okada
GINZA SIX EDITORS Vol.14(Men’s Fashion)
村上 要
WWD JAPAN.com編集長。1977年生まれ。東北大学を卒業後、静岡新聞社に入社し、編集局社会部記者として事件や事故、裁判などを取材。一身上の都合で退職後、ニューヨークの州立ファッション工科大学(F.I.T.)でファッション・ジャーナリズムなどを学ぶ。現地の「プラダを着た悪魔」生活を経て帰国。INFASパブリケーションズに入社して、「ファッションニュース」編集長、「WWDジャパン」編集長代理などを経て、2017年4月から現職。Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中