CHAUMET|Greetings From Overseas
過去と現在を繋ぐ歴史あるメゾンの今
秋のファッションを更新したくなるこの時期、GINZA SIXには海の向こうからまた新たなブランドが仲間入り。そのキーパーソンたちが語るGINZA SIX magazine読者への初メッセージ。
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[GINZA SIXとのはじまりの言葉]
日本と銀座に感じる
ショーメとの共通項とは
1780年にパリで創業したCHAUMETは、高級ジュエラーが軒を連ねるヴァンドーム広場の中でも圧倒的な存在感を放つ。その理由は、フランス近代史と平行したメゾンの歴史にある。フランス第一帝政時代のナポレオン一世と皇后ジョゼフィーヌ、その後のナポレオン三世と皇后ウジェニーに続く数々の王家を顧客に持ち、彼らの肖像画の中で今も永遠に光り輝くジュエリーを数多く手掛けてきたことがその証だ。さらには世界中から王侯貴族やアーティストがここヴァンドーム広場12番地の本店を訪れ、日本の名だたる要人が訪れていることも、顧客帳簿には記されている。
写真/ 本店があるヴァンドーム広場12番地の上階、書庫に保管された本の背表紙にも歴史を感じる資料室でのジャンマルク氏。
そんな貴重な資料やアーカイブが保管される資料室で、CEOのジャンマルク・マンスヴェルト氏はCHAUMETの魅力をこう語る。
「13代目となる現在のアトリエ責任者ブノワ・ヴェリュールに至るまでの2世紀半の間、受け継がれてきたサヴォワールフェール(職人技術)には卓越したものがあります。CHAUMET独特のスタイルである自然への深い敬意と賛美、軽やかながら植物や動物の一瞬の動きを捉えた見事な描写、その全てのディテールもこの神業的な職人技術が支えています」
写真/ 1. ナポレオン3世が皇后ウジェニーにプロポーズの際に渡した実際のブローチ。 2.窓からヴァンドーム広場を見渡す。 3. 12名の職人がいる本店上のアトリエ。CHAUMETと日本の歴史は長く、すでに日本へ進出して40年が経つ。親日家で知られ、1990年以降ほぼ毎年来日しているというジャンマルク氏は「個人的に最も好きな国です。そして日本は間違いなく世界の中で最も美しく洗練された国でもあって、文化的にも精神的にもとてもCHAUMET的な国だとも思っています。それはミニマリズムや繊細さ、職人や文化の継承を重視する日本の国民性にも裏付けされています」と話す一方、銀座の街については「永遠と不変を持ち合わせていると同時に、日々進化している。新しいものと過去を融合させていくこともまた、CHAUMETとの共通点と言えるでしょう」と語る。
9月にオープンするGINZA SIX店は、CHAUMETにとって本店をはじめ銀座エリアで3店舗目の出店となるが、ジャンマルク氏は「錚々たるジュエラーと比較しても、お客様がゆっくり吟味して購入いただける贅沢な環境を提供することに意味があります」と、高級ジュエラーが揃うGINZA SIXをまるで銀座のヴァンドーム広場のようだとも表現する。
一方で、時代とともに変化する現代性、現在の顧客のニーズに合わせた新しいクリエイションを続けるためには、アトリエの職人たちの技術向上が不可欠だ。
写真/ 4. 1990年にメゾンに入った13代目アトリエ責任者のブノワ・ヴェリュール。「テクノロジーが進化しても職人の手仕事は必須です。それはラブレターを書くのと同じ。似たような文章をパソコンで打っても味気ない。良いペンと紙で個性を自己表現してこそ、人の心に響くものなのです」。
「常に職人が情熱を持ち、感性を磨き、今の時代とファッションに合わせた空気感を持ち合わせることが重要です。先日発表したハイジュエリーの中には、ショーメでは過去に数千回以上用いてきたモチーフ『麦の穂』がありますが、単に過去の再解釈ではなく、今の感覚で再発見したクリエイションであり、アトリエが一丸となって創り上げた傑作です」
こうしたCHAUMETの自然への独特の眼差しは他と比類のない、本物を知る人の心に感動と驚きを与える。ジャンマルク氏は言う。
「これからも我々のストーリーとルーツを語り、各時代のアトリエ責任者がCHAUMETにしか持ち得ない技術を伝承し、過去、現在、未来へと繋げていくことが使命です」
Jean-Marc Mansvelt
ジャンマルク・マンスヴェルト/パリHEC経営大学を卒業後、ロレアルでマーケティング職を歴任し、2004年からルイ・ヴィトンのエグゼクティブコミッティーメンバーとしてレザーグッズとアクセサリーのディレクターを務め、フレグランス部門設立。2014年ロロ・ピアーナを経て、2015年より現職。
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PRODUCT PICK
ショーメを象徴するコレクションのひとつ“ビーマイラブ”はナポレオン1世のシンボルで、繁栄や富、幸せの代名詞であるミツバチを、これを象徴するモチーフハニカムで表現。ブレスレット(WG ダイヤモンド)¥1,705,000〜・リング(PG)¥145,200〜/ショーメ(2F) ※9月14日(木)オープン
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Edit: Yuka Okada(81)
Photos: Es.graph
Text: Keiko Suyama
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