GSIX

GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

A Place to Pique an Editor’s Spirit of Inquiry

石井 洋

LEON編集部は銀座から一本、道を隔てた京橋にある。そのせいもあって銀座という街自体には馴染みがあり、訪れることもしばしば。お気に入りのスポットもたくさんあるが、GINZA SIXもそのひとつだ。とにかく空間が広く大きく、それだけで気持ちが良い。服、雑貨、飲食、本屋となんでも揃っているから、行けば何かしら新しい発見がある。編集者という仕事はオンオフの区別があまりないため、休日にぶらりと訪れても、結果、仕事目線になってしまうが、それでも効率的にさまざまなものをインプットできる場所は貴重だし、それがまた楽しいのだから仕方なし。というわけで今回はどんな新発見があるのか。ちょっとした遠足気分で、ワクワクしながら訪れた。

一軒目は、5Fの「ATTACHMENT(アタッチメント)」。僕は今でこそクラシコなスーツやジャケットを着ることが多いのだけれど、元来ファッションに関しては雑食で、若かりし頃はモードに傾倒。そのせいもあってか、今でもどこかひねりの効いた服が好きなのだが、もういいオヤジゆえ、勢いに任せた選びや着こなしはできないし、そもそも似合わない。そんな時にふと立ち寄ってしまうのが、コチラなのだ。

アタッチメントの服は基本的にミニマルシックなのだが、ちょっとした部分にモードの香りが漂う。大人が着ると、大人であることの雰囲気は崩さず、それでも周囲に埋没しない個性を発揮してくれる、そのあたりの塩梅が絶妙なのである。

例えばこのジャケット(18,000円 ※以下全て税抜価格)。カーディガン感覚で着られる軽やかなブラックで、3シーズンは使えるもの。なのだが、サラリとドライな素材使いであったり、ショールカラーのラペルであったり、さり気ないひねりが効いているのだ。

個人的に発見だと思ったのは、コチラのロングコート(35,000円)。コートといっても、「羽衣か?」というくらいの軽さで、シャカシャカとした素材感が軽快な雰囲気を盛り上げる。フロントボタンはなく、着るというより着流して羽織る感覚。現代の銀座歩きにピタリなモダンさを秘めている。ちなみにデザイナーの熊谷和幸さんとはちょっとした親交があり、展示会を行なっているパリ行きの空港などで出くわしたりするのだが、これまた氏のスタイルがアタッチメントを実によく体現していて、(当たり前だが)とてもよく似合っている。さまざまなものを通り抜けてきたからこその、力の抜けた際立ちスタイルーいつか自分もその境地に立ちたいと思うのだが、正直まだまだか…。ブランドのファンに大人のミュージシャンが多いというのも、氏の人柄とスタイルに寄るところが大きいのだろうなとも。

次に訪れたのは、お洒落ゴルファーに絶大な人気を誇るセレクトショップ「the HOUSE(ザ ハウス)」。インスタ系女子ゴルファーが熱をあげるパーリーゲイツを筆頭に、さまざまなブランドを揃える名店だ。僕も40歳を超えてから途端にゴルフにハマった口で、今では隙あらばラウンドをし、打ちっ放し練習やショップ巡りをするのだが、こちらはGINZA SIXの三原通りに面した側にあり、独立の入口があるため、時間のない時などにサクッと見て回れるのも嬉しい。加えてゴルフの行き帰りを意識したイタリアブランドもラインナップされており、ゴルフ目的でなくとも何かしら買ってしまうという、困った店でもある。

ゴルフウエアを選ぶ際は、いつもより派手なものを選んでしまうことが多い。緑に囲まれた自然の中ではそのくらいがちょうどよく、気分も高揚するからゴルフを思い切り楽しめるのだ。写真のようにロゴ入りのアイテムを身につけるのも、ほとんどゴルフの時だけ。ちなみにこのポロシャツ(17,000円)の胸に刻まれた「1989」はパーリーゲイツが創設した年。それゆえ同ブランドのアイテムには「89」という数字があしらわれることが多いのだが、90というスコアを切れなかった時代は、験担ぎ的に着ることも多かった。今回こそは「90を切るぞ」というわけである。

今回の取材では、マーカーとセットになったグリーンフォーク(2,200円)を購入。これがまた楽しい体験で、好みのグリーンフォークを購入すると、ガチャガチャが一回まわせるというもの。色とりどりのマーカーがランダムに出てくるのだ。カプセルを開ける瞬間は、意外なほどにドキドキ。ちなみに同店にはお洒落な女性スタッフが多く、ひとりで訪れても、女性を連れ立っても“今のゴルフのお洒落”のレクチャーを受けることができる。客観目線のお洒落はとても大事ゆえ、ご参考まで。

締めに訪れたのはB2Fにある「ISHIYA GINZA(イシヤ ギンザ)」。写真はGINZA SIX限定「Fuwari(フワリ)バターオムレット」(各300円)で、北海道産発酵バターをベースに、ワインやラム、日本酒を使った珍しいスイーツ。

前出のフワリとは真逆の食感がクセになる「Pali(パリ)パイ」(各250円・全8種)は、これまたバターを何層にも折り込み焼き上げたサクサクのパイ。どうしても気になってチョコクリームを特別に店頭でいただいたのだが、ん〜、これはワインが欲しくなる。

職業柄、気の利いたおもたせはいつも気になっているのだが、そうした意味でも「イシヤ ギンザ」は抜群。実はこちら、日本の老若男女誰もが知る北海道生まれの銘品「白い恋人」を作っている「石屋製菓」という会社がGINZA SIXで初めて展開する、北海道では買えない新業態ブランドで、「白い恋人」こそ扱っていないものの、そのDNAを受け継いだ「Sagu(サク)ラング・ド・シャ」は絶品だ。その出自を伝えてギフトすると、お相手の顔には決まって笑みがこぼれる。編集者ということでこのあたり、いつも過剰な期待をされてしまうのだが、味だけではないストーリーのあるこのおもたせは、ハズレ知らず。

と、取材依頼を受けての今回のGINZA SIXぶらり旅は、時間にして約一時間半たっぷりとあったのだが、それでも正直時間は足りず…。それは、あちらこちらに気になるものが多く、目移りしてしまうことが第一。そして先に書いた広大なスペースが、まだまだ何か発見できそうな場所があるのでは? という感情を呼び起こすからだろう。職業柄もあるが元来、知らないもの・楽しそうなものがありそうだと思うと、いても立っても居られない性格も災いしたのかも。その週末に再訪してしまったのは言うまでもなく、ん〜、これはGINZA SIXにしてやられたか…。

Text:Hiroshi Ishii Photos:Yuichi Sugita Edit:Yuka Okada

GINZA SIX EDITORS Vol.83

editors_ishii

石井 洋

1974年生まれ。フリーランスのエディター・ライターとして多岐にわたり活躍した後、ミドルアッパー層に向けたラグジュアリー男性誌「LEON」に参画。2018年3月より同誌編集長に就任。2018年12月より、オフィシャルWebサイト「LEON.JP」編集長を兼任。モードからクラシコまで精通するファッション博愛主義者。週末は趣味のゴルフ、格闘技観戦にいそしむ45歳。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

2019.07.22 UP

RELATED ARTICLES

Back To All