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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

The Delights of an Aimless Visit to GINZA

江部 寿貴

子供の頃、「日曜日に家族で銀座へ行く」は、うれしいイベントで、ほかの繁華街に行った記憶は残っているけれど、銀座ほどの特別感はなかった。なんでだろう。歩行者天国のせいかな。「悪いことをしたら地獄に。良い子だったら……」なんて安易な躾言葉で「天国」というネーミングに幸福を感じてたのか、それとも普段クルマが往来する大通りを歩行者が闊歩する「銀ブラ」の光景が衝撃的だったのか、もう覚えていない。

そんな僕の銀ブラは、有楽町駅を降りて数寄屋橋交差点を渡って、晴海通りを歩いて天賞堂の鉄道模型ディスプレイを眺めるところから始まっていた。そして、その天国が横断する銀座4丁目交差点を左に行くか、右に行くかで、いつもワクワクしてたなぁ。あれからずいぶん時間が経ったけれど、意外と鮮明に残っていた幼少期の記憶を思い出しつつ、足を右へ向け、ここ数年でいちばんの銀座の街の話題となった広大な商業施設、GINZA SIXをブラブラしてみた。

数々のハイブランドが並ぶ1階からエスカレーターに乗り、5階のザ・ノース・フェイス アンリミテッドへ。僕は、特別な予定がない限り海へサーフィンに行くか、冬は雪山へ行くことが休日のルーティンになっていて、アウトドアウェアは欠かせないワードローブなのだ。その代名詞、ザ・ノース・フェイスはよく着ている大好きなブランド。ほかのアウトドアブランドよりもデザインがクールで街着としても使えて、平日と休日の境目のないようなルーズな格好という自分のスタイルに都合がいいのも、大きな声では言えないけれど好きな理由だ。

例えば、高い耐水透湿性を持つハイベント素材を使った「ライトニングコート」(¥28,000 ※以下全て税抜価格)なんて象徴的。驚くほど薄くて軽くコンパクトに持ち運べるから、アウトドアライフで最強のレインコートになる。そして、ファッション好きなら絶対に目を引くモッズコート型で、しかもトレンド感のあるビッグサイズだから、普段着としてTシャツやスーツに合わせれば今っぽく格好良くもなれる。機能的でオシャレ。TPO不問で、着回し力も高い。あまりにも便利で奥さまやパートナーに拝借される恐れも。ユニセックスデザインで、サイズ設定も豊富だから、2枚買いするのもあり!?

そのほかにも、エクストリームな環境で使うための叡智を結集させた服やギアが並べられていて、トロリーバッグとボタンダウンシャツが気になった。

トロリーバッグ(¥40,000)は、海外ロケに同行するスタイリストが使っていて気になっていたもの。試してみたら、とにかく軽くてホイールが滑らか。収納を考えた荷室のしつらえも最高。そして見た目が格好いい。これを持って空港にいたら「俺、結構アウトドアに精通していて、旅慣れてるんすよ。フッフッフッ」。そんな雰囲気が出せるんだろうな、なんて妄想を。

シャツ(¥20,000)はGINZA SIX店限定アイテムとのこと。どこからどう見ても綿製のオックスフォード生地と思いきや、ナイロンを混紡した機能素材でシワになりづらく洗濯後に乾きが早いそうで、何枚か用意しておくと日常から出張まで、あらゆるシーンで使えそう。

このように、郊外と都市の境界を取り払った「使える」ワードローブが揃っていて、デュアルライフやワークスタイルの多様化といった新しい生活様式で頼もしい相棒となってくれそう。そういう品が銀座の最先端の商業施設に並ぶことは、とても意味があることだと思うのだ。

そして2軒目は、同じく5階にあるデンハムへ。僕が在籍する編集部「オーシャンズ」誌上でもたびたび紹介しているプレミアムデニムブランドで、GINZA SIXの数あるショップの中でここの内装がいちばん好きと断言できる。ひと言で例えるなら「デニムのテーマパーク」。まず、ブランドが掲げるメッセージ「FROM VIRGIN TO VINTAGE」を表すデニムの「洗い場」と「乾燥室」に注目を。購入したデニムを好きなときに何度でもウォッシュ&ドライしてデニムを育ててくれるうれしい無料サービスがあるのだが、その作業工程を工場の社会科見学や商店街の焼き鳥店の実演販売のように、誰でも見物できるのが面白いところ。そして、店内中に置かれた無数のヴィンテージフィギュアやサインボードも圧巻だ。見る人によってはガラクタかもしれないけれど(苦笑)。

さらに、ショップ奥にあるキッズウェアとキッズスペースの充実も見逃せない。三角屋根のテントの中にあるキッズ専用フィッティングルームなんて、とてもチャーミングだ。その横にカフェもあって、専門店に負けない味のドリップコーヒーやエスプレッソが楽しめるのもいい。そして、このカフェのカップを使ったちょっとしたドッキリがショップ内に仕掛けられていて……(その真相は実際に店に足を運んでみてください)。

このように、ただ「服を買う店」ではない、憩えて集えて楽しめる空間になっていて、これは、自宅でポチッの味気ない通販じゃ味わえない、ちょっとしたエンターテイメントだと僕は思うのだ。

あちこちをブラブラして小腹が空いたら地下の食品売り場に。これは「日曜日に家族で銀座へ」のお約束でもあったので、本能的に地下2階のフーズフロアへ。日本全国の美味いもの、立ち飲みできる店、デキる編集者の必須項目「いい手土産」まで勢揃い。そんななか、ここのフルーツは逸品だと子供の頃に親に教えられていたからか、「銀座千疋屋」の三文字に無条件に反応してしまいパティスリー銀座千疋屋へ。

ここは、銀座千疋屋の目利きによるフルーツを使ったケーキをはじめとするスイーツ専門店なのだけれど、どれもこれも美味しそうで目移り具合がとんでもないことになるので、注意されたし。季節のケーキやフルーツサンドなど、まさに甘い誘惑だらけのなか、一風変わった2つの「甘いやつ」をピックアップしてみた。

ひとつは「UHA 味覚糖コロロ」とコラボしたグミ「銀座千疋屋プレミアムココロ」(¥600)。「あぁ、グミね。コンビニでも買えるやつね」と、三流な前フリをしてから、こいつを口に放り込んでひと噛みしたら最後。ほっぺがギュッと痛くなるほどの旨味に襲われるので、ここも注意を。特に銀座千疋屋を象徴するマスクメロン味がおすすめ。

もうひとつが、いちごのチョコレート(¥1,500)。フリーズドライさせたいちごにホワイトチョコレートを染み込ませたもので、こちらもひと噛みめの意外な歯ごたえでノックアウトされる。やはり注意を。

でも、僕はどれを食べても結局「おいし〜」の言葉しか出かったので、生涯食レポの仕事は来ないだろうなぁ。

エディターだったら、ちゃんとテーマ設定をして、それに従った店選びをして、理路整然とした文章を書かなければいけないのに、なんだか脈絡なく店を選んでしまったな。そう反芻しつつも、煩悩の赴くままに館内を巡っても、必ず素敵な出会いや欲しいモノやサービス、楽しい空間がある多様性がGINZA SIXの魅力なのだ、と都合よく解釈して、ブラブラ終了。皆さんもこのお買い物天国をブラブラしてみると、あっという間にラブラブになってしまいますよ。

Text:Toshiki Ebe Photos:Shohei Saito Exit:Yuka Okada

GINZA SIX EDITORS Vol.55

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江部 寿貴

「オーシャンズ」副編集長。1977年生まれ、東京下町出身。早稲田大学卒業後、株式会社世界文化社へ入社。「メンズEX」「Begin」勤務の後、2005年退社。同年、創刊メンバーの1人として「オーシャンズ」編集部に参画。2010年より現職。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

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2018.09.03 UP

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