BUILDING A WELLNESS COMMUNITY 互いの心を補い合うブランドのコミュニティ
ストアがハブとなり、モノとヒトだけでなく、ヒトとヒトをもつなぎ、導き、高め合う。
GINZA SIXの「lululemon(ルルレモン)」が次世代に継承する“コミュニティ”の力とは。
人とのつながりが醸成していたポジティブなエネルギー
空平 ルルレモンの「スウェットライフ」はブランドの哲学であり、僕たちが世の中を見えるときのレンズです。そこにはともともに汗をかき(スウェット)、成長し(グロウ)、つながろう(コネクト)という意味も含まれます。GINZA SIX店との関わりは、3年ほど前に雑誌のヨガイベントをストアで開催して以来です。その後もルルレモンアンバサダーとしてコミュニティを形成したり、イベントを開催したり。エデュケーターやゲストと一緒になって成長し合い、いい関係性を築くのが僕の最大のミッションです。
遠山 私はGINZA SIX店がオープンしたときからのスタッフで、この5年間のイベントやコミュニティは一通り見ています。当初は海外のお客様が多かったのですが、日本でブランドが認識されるにつれて、イベントに参加してくださるお客様も増え、ストアをハブとして多くのお客様と関わりを持てたことが大きな喜びです。コロナ禍以前は、GINZA SIXの屋上でヨガのイベントやランニングイベントを開催。毎週参加してくださる方も多く、人数制限をしなくてはいけないほどでした。
〈コロナ禍前にはルルレモンのイベントの舞台となっていた、屋上GINZA SIXガーデンでのスリーショット〉
木戸 私はそのコミュニティによく参加させていただいていた一人です。5年ほど前にプライベートのフィットネスコミュニティのイベントをルルレモンで開催させていただいたことがきっかけでつながり、日常着としても着られるスポーツウェアを指す“アスレジャー”という言葉が注目され始めたのもあり、GINZA SIX店でお買い物をするようになりました。買い物以外で気軽に入れるお店ってなかなかないのですが、GINZA SIX店には気心の知れたスタッフもいるし、銀座で仕事のミーティングがある前に寄って話したりするのはいい気分転換になります。平日の日中は仕事で目が血走っている私のような者にとっては、すごくありがたい場所です。
遠山 こちらこそ気軽に寄っていただいて嬉しいです。コロナ禍ではイベントも休止になり、頻繁にお会いすることが叶わない状況ですけれど、コミュニティメンバーの方々との関係性は以前より濃くなったと感じています。それまで対面だと簡単に伝わったことが、オンライン上だと説明に工夫が必要だったりすることも多く、そこからの学びが自分自身の成長の原動力にもなっています。気軽に会えないのが当たり前になった状況で、コミュニティメンバーの方々とどうつながれるかを考えたりすることも面白いですし、久々に店頭でリアルに対面した際にはテンションが上がり、幸せな気分になるのも新しい発見でした。
空平 確かに、コロナ禍を経験して試行錯誤することで、リアルで会うことの価値が上がった感はありますね。オンラインでの発信ややりとりがスタンダードになった現在、どこからでもつながることができるという点でも、様々な可能性が広がったともいえますよね。
〈左:「ベーシックで何回洗っても伸びない」と空平さんも太鼓判。機能性に富むパーフェクトな一着。Tシャツ “Metal Vent Tech SS 2.0” 9,500円 /右:自身が最近始めたというゴルフの際に着用し、快適さに感動したという一本。パンツ “Commission Pant Slim 32” 16,800円〉
木戸 私は朝のランニングイベントが楽しみで、それが中止になった当初は寂しかったのですが、今はSNSで簡単につながれますよね。SNSを通じて近況を知っているから、間を置いて会っても久しぶりな感じがしないのは面白い。空平さんのおっしゃっるとおり、オンラインでのコミュニケーションのキャパが広がり、伝えるほうも、伝えられるほうも、変化に対して強くなったのかなと思います。
ブランドのカルチャーがコミュニティを強く後押し
空平 僕は映像作家の仕事もしているので、オンラインには比較的早く対応できました。とはいえやはり悪戦苦闘はしましたね。ヨガには「サントーシャ(足るを知る)」という言葉があります。年齢を感じるごとに自分にとって必要なものがだんだんわかってきて、削ぎ落としたシンプルな生活の中にあるたくさんのありがたい出来事を、常に感じられる心の状態をとても大切にしています。そういった各人の個性やダイバーシティを尊重して、信頼してくれるルルレモンのカルチャーは、コミュニティを形成していく上でとても重要だと改めて感じているところです。
遠山 「人はみな違う」というルルレモンのフィロソフィーに接することで、私自身が最も影響を受けたのは人との関わり方です。多様性を尊重することで見た目で人を判断しなくなり、感覚も研ぎ澄まされるからこそ、自分の意志もクリアになった感があります。体型にしても、人それぞれで違うのが当たり前という考えにアップデートできたのもそう。だからこそ、お客様のコンプレックスや苦手意識を少しでも楽にできるようになれたらいいなと思います。ブランドが様々な体型の人をモデルにしていること、そしてそれをご覧になったお客様が話題にしてくれることも、ルルレモンで働いていて誇らしい部分です。
〈左:タイトフィットとクロップド丈で、すっきりとしたシルエットが美しい。トップス “lululemon Align™ Tee” 8,500円/右:背中のストラップ使いがスタイリッシュな印象を与えるオープンバックタイプ。ブラ “Free to Be Serene Bra” 6,500円〉
木戸 私も多様性という部分は、ルルレモンからナチュラルに学べたものの一つだなと感じています。SDGsや社会問題をオンラインのツールで学ぶ機会はあっても、なかなか実践するまでにはたどり着きにくいもの。ルルレモンはプロダクトや媒体を通して社会問題を発信していて、具体的なメッセージに接することで、自分の意識や考え方も少しずつ変わっていけるような気がしています。
遠山 それはコミュニティを運営する私たちにとってもすごく嬉しいことですし、ブランドが目指しているところでもありますよね。
木戸 ヨガ講師の皆さんが、シニアでも動けるような簡単な動きをやってくれたりするのも素敵なことだと思います。様々な人がいて、それぞれの行動を全員が認め合う。さらには、自分の欠点は他人から見ると魅力的な部分だったりもして、それを誰かが補うという優しいメッセージも感じるんです。その感覚を共有することで一つのコミュニティになり、大きな力になるということを、私なりに咀嚼もできて、職場でも具体的な言葉で伝えられるようになってきた感じはします。
新たな一歩を踏み出しつつある次世代のための「つながり」
木戸 個人的なことをいえば、コロナ前までは1人で過ごすことが大好きでした。でもそれはつながっていたことに気づいていなかっただけで、誰かが私の1人の時間を認識してくれていただけのこと。つまりそれはコミュニティに属してるからであり、寂しく感じなかったのはそういうつながりの実感があったからなのだと、この数年で気づかされましたね。
〈左:「後ろの裾が長めでヒップが隠れるのがいい」と遠山さん。4WAYストレッチで機能性も秀逸。トップス “Back in Action LS” 9,500円/右:伸縮性と形状維持性に富み、「第二の皮膚」とも言われるアラインシリーズから、春色をリコメンド。パンツ “Align™ HR Pants 25” 12,800円〉
遠山 木戸さんのおっしゃることは私もすごくわかります。コロナ禍以前はコミュニティが大きくなることに喜びを感じて、そのことが自分の仕事の達成感であり、承認欲求を満たすものでした。でもその後のコロナ禍で、コミュニティの皆さんと会えなくなったときに、温かいメッセージをたくさんいただいたんです。「いつお店が開くの?」とか「会いに行きたい」とか。自分自身が逆に皆さんに支えられていたのだと知りました。困難な状況だからこそ、私にとっては皆さんからの声が心の支えになったので、今、お店で会えると、喜びがもう100倍ぐらいになります(笑)。
空平 1人でできることには限度があります。でも、コミュニティでは、いろんな個性を持つ方々から刺激をもらったり、自分にできないことを教えてくれる方たちがたくさんいたりする。その中で醸成されるコミュニケーションやつながりが、未来への可能性でもあると思うんですよね。コミュニティでつながって、ときには励まし合って、運動や仕事のモチベーションになり、成長し合える。初めに示した3つのキーワードともリンクするし、コロナ禍を経験した今だからこそ欠かせないものです。だから早く日常が戻って、ストアで対面でヨガができたり、GINZA SIXの屋上でイベントを再開できたらなによりも嬉しいですね。今は、個人的にもオンラインスタジオを整えている最中です。ルルレモンのアンバサダーの皆さんにも協力してもらい、様々な動画を撮影し、そのアーカイブも残すなど、オンラインのプラットフォームを構築していきたいですね。
遠山 私の2022年の目標は、空平さんをはじめとするアンバサダーの方々など、いろんなコミュニティに素敵な方々がたくさんいらっしゃるので、ルルレモンのゲストにその存在をもっと知ってもらえるように動いていきたいです。遠方でなかなかお店に来られない方でもオンラインでつながれるし、リアルと並行してスウェットライフを満喫できる機会が、今年の早いうちに実現したらいいなと思います。あとはやはり、この2年でメンタル面のケアを必要とされている方も増えていると思うので、そのツールも構築していきたいです。アンバサダーのポジティブなエネルギーや世界観に触れていただいて、人生をウェルネスに過ごせるお手伝いができたらとても嬉しいです。
木戸 そうなったら素敵ですね。私もぜひ参加したいです。一日も早いコミュニティの再開を願っています。
Text: Satoko Hatakeyama
Photos: Michika Mochizuki(portraits), Kengo Shimizu(products)
Edit: Yuka Okada(81)