GINZA SIX EDITORS
ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。
目と心の保養!? 至高の世界観をGINZA SIXで巡る Rejuvenating the Mind and Eye: Touring GINZA SIX’s Ultimate Worldview
山本 憲資
世界中から、ファッション、ライフスタイル、グルメまで、最高のブランドのお店が集結しているGINZA SIX。僕は、雑誌の編集者を経て、今はSumally(サマリー)というソーシャルメディアとサマリーポケットというモノを預かるサービスをやっている。来るべき「持たなくてもいい時代」に向けて、手元で物欲や所有を簡単に管理できる仕組みを提供すべく日々サービスを磨き続けているのだけれど、今回はそんな時代においても持ち続けるべきとも言える、個人的にも一生のお付き合いをしたくなるようなモノ作りをしている2つのブランドのショップと、その世界観にふさわしい、エクスクルーシブなラウンジにお邪魔してきました。
1F、入り口からすぐのところにある「MOYNAT(モワナ)」のブティック。1849年にポーリーヌ・モワナが創業したパリ最古のトランクメーカーだったが、戦後にはブランド自体がなくなってしまっていたところに、LVMHを率いるベルナール・アルノーが2011年に個人的に出資をし、ブランドが復活。今や世界中にショップができているが、こちらのお店は日本の旗艦店の位置づけ。
オリエント・エクスプレスがコンセプトのインテリアは、パリ・サントノーレの本店同様、GINZA SIXのインテリアデザインも担当したグエナエル・ニコラが手がけている。さらにクルマのボンネットにぴったり載せられるように、底面がカーブを描いたトランクがMOYNATの象徴的なデザインだが、お店の天井もそのカーブを模したデザインになっている。
ショーケースに並んでいるのが目に入ってきた、バックスキンのトートバッグ「レガッタ」(595,000円 ※以下全て税別価格)。デザイナーのラメッシュ・ナイールが自分の好みにあわせてつくったサンプルがそのまま実際の商品に。世界でも数量が限られており、ロンドン、パリ、東京の世界3都市のみでの展開とのこと。このデザインであれば男性にもマッチし、サイズも使い勝手がよさそう。
一見プリントに見える、この飛行機柄の「モザイク プレーン クラッチバッグ」(114,000円)。実はプリントではなく、それぞれの色のレザーが丁寧にカットされ、蒔絵のように精緻に"嵌めて"ある。こういうクラフトマンシップにグッとくる。他にはクラシックカーの柄があったり、汽車の柄があったり、ここでも乗り物がブランドと深く結びついている。
モワナというブランドには、僕のパリの知人たちが深く関わっていて、個人的に思い入れがある。この日お相手をしてくれた、パリの店長を経て今はこの店舗の責任者であるラシッドさんも彼らのことはよくご存知だった。東京でこれだけのラインナップが見られるのが、何よりうれしい。ぱっとみただけではどこのブランドなのか分からなかったりしながらも、エレガントな存在感を放つバッグ。知る人ぞ知る贅沢を味わえるのが、モワナの何よりの魅力なんだと思う。
続いて吹抜に吊るされた巨大なダニエル・ビュレンの作品を傍目に(2018年11月12日からはニコラ・ビュフの大きな象が展示予定)、エスカレーターで5Fにあがり、見えてくるのは「LEICA(ライカ)」のストア。銀座には泰明小学校の斜め向かいにショップがありつつ、GINZA SIXにも出店しているのが便利。
オートフォーカス付きでマクロでも撮れる初心者向けモデルの最高峰とも言える「ライカQ」を発売当時より個人的には愛用、自然の中でも撮影したりとそれなりにハードな使い方をしているので、頻繁にメンテナンスの相談に来店。GINZA SIX限定カラーが発売されたりすると、気になってチェックしにきたりも。
こちら2016年に発売になったライカのインスタントカメラ「ライカ ゾフォート」(33,500円)。つい先日、新色のブラックとピンクが発売に。昨今のアナログブームで、ライカの中ではお手頃ということもあって、若い層にも人気だそう。パパラッチフォトグラファーとしても知られる、Jean Pigozzi(ジャン・ピゴッツィ)が手がけるLimoLandの限定モデル(46,000円)も。
そして、ライカといえば、いつかは憧れのM型も使ってみたい! Mこそライカのフラッグシップ。ちなみに僕が手にしているのは先日発売になったばかりの「LEICA M10-P」(980,000円)。通常のM以上にクラシックでシックなテイストに、最新の技術がぎっしりと詰め込まれている。シャッター音が小さいのも◎。こういういいモノに触れると、仕事をもっとがんばらねばという気分になりますね。
僕はトレッキングが趣味なのと、コンサートや舞台も好きなので、双眼鏡が活躍するシーンが日々多々あり。ということで、双眼鏡もライカ製を愛用中。もう長らく使っているけれど、毎回のようにクリアな視界に驚き続けている。
ぶらぶらも終盤、同じフロアの「LOUNGE SIX(ラウンジ シックス)」へ。ここは年間で一定のお買い上げ金額を満たしたVIP会員向けのスペース(詳細はhttps://ginza6.tokyo/membershipを参照)。現代美術家の杉本博司率いる建築設計事務所「新素材研究所」が内装を手がけた。古い素材こそ新しい素材なのではという設計思想が掲げられているが、黒漆喰のエントランスの中央、秘密の扉が開くと、床には1970年代まで走っていた京都市電の敷石に使われていた御影石が敷き詰められていて、正面には杉本さんの「海景」が出迎えてくれる。ちなみにこちらは五大湖のひとつ、スペリオル湖を撮影した1995年の作品。
家具も全て新素材設計所の特注デザインによるオリジナル。梅の花を感じさせるテーブルと椅子の配置など、谷口吉郎が手がけた今はなきホテルオークラ本館のラウンジをどこか彷彿させる。GINZA SIXのビル自体の設計は息子の谷口吉生が手がけているが、2019年9月にオープンするオークラの新ラウンジの設計も同氏。その世界観と、杉本博司が建築家として手がけたこの空間との対比も楽しみだ。
メンバーはスペシャルメニューから軽食とドリンクをオーダーできる。今回はB2Fに出店している「TAKAZAWA 180 ICHI HACHI MARU(タカザワイチハチマル)」がプロデュースしたラウンジ限定カルボナーラ風味のベイクドコロッケと、イチローズモルトのハイボールをいただく。この空間で美味しいウイスキーと、絶品のおつまみ。うーん、贅沢。
なお、ラウンジではパーソナルスタイリングのサービスを利用できたり、ご覧のようにショッピングした荷物をまとめて受け取れるポーターサービスも利用できるとのことで、至れりつくせりです。いつかはメンバーになれる日を夢見て、さて今日もがんばって仕事をしようと。
Text:Kensuke Yamamoto Photos:Satoshi Minakawa Edit:Yuka Okada
GINZA SIX EDITORS Vol.64
山本 憲資
Sumally Founder & CEO。1981年神戸市生まれ。広告代理店、GQ JAPANの編集者を経て、Sumallyを設立。現在はスタートアップの経営者ですが、編集者マインドも持ちながら自社サービスを成長させる日々。今回は"元”編集者枠でこのコーナーに出演させていただきました。Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中