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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

The Nonchalant Urbane Flair of the Ginza Six GINZA SIX Editors Illustration

長場 雄

9月末にGINZA SIXの公式ウェブサイト上でスタートし、日ごと閲覧者とインスタグラムのフォロワーを増やしつつある「#ぶらエディターズ」企画。ファッション、ウォッチ&ジュエリー、ライフスタイル、ビューティ、フード…各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴る注目の連載で、アイコンとなる動くイラストを描き下ろしてくれたのは、長場雄さん。多くの雑誌や書籍で表紙や挿絵を手がけ、広告の分野でも国内外で精力的に活躍。ペン一本、黒の線画だけで描かれたミニマムな人物や世界に、共感を誘う絶妙の機微やムードが宿る。今、間違いなく最も多忙を極めるイラストレーターの一人だろう。

「キャラクターや有名人を描いてくださいということではなく、ある意味、裏方ともいえる編集者を絵にしてくださいという今回のお題は、なかなか難しかったです。イメージしたのは “忍びの者”(笑)。編集者の人って、こっそりありとあらゆる情報を得ていて、いろいろなことにめちゃくちゃ詳しいんだろうなって。具体的には、左は集音器で街の声を聞く編集者。真ん中はさっぱりしているんだけど、ちゃんと何かを考えてそうな女性の編集者。右はカメラマンも兼ねた編集者を描いた感じですね」

そんな本人の誇張のない語り口そのまま、絵においても大げさな表現は好きではないという。描くだけでなく伝えることにはこだわる一方で、大切にしているのはシチュエーション。あくまでタッチはやわらかに、観る人にできるだけすんなり入ってもらい、その先で考えてもらったり、絵の空気を楽しんでもらえるような仕掛けを描く。

「なんでも控えめでいると、『俺はね』みたいな打ち出しが強い表現や人に負けがちだったりするけど、僕は前者の方が都会的で洒落ていると思っているところがあって、そこでがんばりたい。『#ぶらエディターズ』の動くイラストも、パラパラ漫画のさりげない動きが好きで、何枚かの絵をつなげて動かしています」

小さい頃から絵を描くことが好きだった。10歳から2年間の多感な時期を、父親の転勤に伴いトルコで過ごすが、帰国後、その間の日本のカルチャーがごっそり抜けているせいで、疎外感を感じることもあったと当時を振り返る。ただ、そうして無意識のうちに蓄積された外からの視点が、現在の作風を生んだばかりでなく、日々のアイデアに活かされることも少なくない。

「例えば街を歩いていて、知り合いにばったり会ったときの相手の反応とかが、楽しかったりする。そういうリアクションを客観的に分類してなんとなくストックしてるというか、『この絵だと、あのリアクションかな』と引っ張り出してくる感じはありますね。飲み会とかもサシより大人数ならオッケー。だって、自分の気配を消していても、許されるので(笑)」

ちなみにそんな長場さんの最近の関心事はというと、ラグジュアリーブランドの動きだというから、興味深い。

「ルイ・ヴィトンとSupremeのコラボレーションとかもすごく面白いなと思いましたけど、バレンシアガとかグッチとかも、僕らから見たら『もしかしたらダサいんじゃない?』みたいなことをなんの迷いもなく流行らせようとしている感じがある。ちょっと世代が離れて、自分では理解できない流れにきているのが面白くもあり、羨ましくもあります」

だからといってブランドのアイテムに手を出すことは少なく、普段はあっちに行ったりこっちに行ったり、興味の幅は雑食。あくまで新しい表現や面白いアプローチとして、ラグジュアリーからストリートまで、垣根なく積極的にチェックする。どっぷりハマった後は、また別の興味へと。アウトプット以上にそうしてインプットをしていないと、自身の次の表現も、どこに向かっていいかを見失ってしまうという。

なお、今後の自身の活動への想いは?

「日本だけでなく、いろいろなところでやっていきたいので、海外の案件は積極的に受けています。あと現代アートの世界も楽しそうで興味はあるのと、ギャラリーから声をかけてもらうこともないとは言いませんが、どう戦うかが、まだ見つかっていないんです。言葉でちゃんと喋れないとだめな世界だし、すごい強欲じゃないと勝ち上がれないのかなと。僕の場合、もうちょっと野心を培養しないと(笑)」

Illustration:Yu Nagaba Photos:Akemi Kurosaka Edit&Text:Yuka Okada

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長場 雄

イラストレーター・アーティスト。1976年東京生まれ。東京造形大学卒業。各種エディトリアルからクライアントワークまでイラストレーションを主軸に、描き文字、ロゴタイプやパッケージのデザインまで、多様に活動。2014年以降、NYやロンドンなどで個展を開催。自身が生み出したキャラクター「kaerusensei(かえる先生)」のアカウントで多彩なオリジナル作品を365日デイリーで投稿するInstgramのフォロワーは約10万人を誇る。なお、GINZA SIX magazine(GINZA SIX発行のフリーマガジン)初号のために描き下ろした、ダ・ヴィンチからピカソ、バスキアから村上隆まで20人の世界的芸術家たちが銀座 蔦屋書店に集った大作のイラスト(上に掲載)をはじめ、2017年12月にはアーカイブ集の出版を記念した展示が、東京・渋谷のGALLERY X BY PARCOで開催予定。http://www.nagaba.com
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

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