GINZA SIX EDITORS
ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。
涼やか肌を手に入れる、初夏のビューティクルーズ An Early Summer Beauty Sojourn, Yearning for Clear, Refreshed Skin
長田 杏奈
GINZA SIXは、銀座行脚における貴重な避暑地。新製品発表会や取材の合間にちょっと涼んでリフレッシュし、目の保養がてらショッピングするのにちょうどいい。今日は、汗ばむ季節を涼やかに迎えられるよう、初夏の肌支度に欠かせないものを買いに寄ろう。
一路、B1Fのビューティフロアへ。目指すは、通好みなアイテムが揃う「メイクアップフォーエバー」の凱旋店。コレクションのバックステージはもちろん、舞台や映画の撮影現場、魅せるプロスポーツの世界で厚い信頼を寄せられる同ブランドのアイテムを、日本一豊富にラインナップする、美容好きの聖域だ。
まずは、駆けつけひと吹きの「ミスト&フィックス」(3,800円 ※以下全て税抜価格)で、汗ばんで浮いてきたメイクをピタッと密着させるのが先決。これで、今日一日、メイク崩れとは無縁でいられる。ツヤと潤いをプラスしつつ、肌の酸素供給をサポートするノウゼンハレンエキスがだらけた肌をキュッと引き締めてくれるのが、そんじょそこらのメイクフィックススプレーと大きくちがうところ。持ち運びに便利な30㎖のトラベルサイズが登場したと聞きつけ、早速手に入れる。
もうひとつ、メイクアップアーティストや美容マニアの間で「HD粉」と呼ばれるベストセラー「ウルトラHDルースパウダー」(4,500円)の在庫も補給しなければ!崩れ防止のために仕上げのパウダーは使いたいけれど、微妙な色味や質感のさじ加減に干渉されるのはイヤだし、潤いを奪われるのも絶対イヤ。そんなわがままに完璧に答えてくれるのが、忍術級にひたすら透明に馴染む、微粒子のパウダーなのだ。ベースメイクの仕上げにはもちろん、二重幅にクリームシャドウが溜まったり、パンダ目になりやすい人の仕込みにもおすすめ。
さらに忘れてはならないのが、海外のフィギュアスケーターや新体操、シンクロナイズドスイミングの選手の愛用メイクをリサーチしていた時に知った「アクアシール」(3,800円)。どんなパウダーもペンシルもブレンドするだけでウォータープルーフにかえてしまう魔法のアイテムだ。お気に入りのアイシャドウやグリッターやアイブロウを、泳いでも汗をかいても落ちない仕様にチェンジできるから、レジャーの季節にひとつ持っておくと妥協のないメイクライフを送ることができる。この3点さえあれば、夏のメイクは崩れようがない。
Netflixで『ル・ポールのドラァグレース』全11シーズンとスピンオフを追いかけ、80年代のボール・カルチャーをテーマにした海外ドラマ『Pose/ポーズ』を楽しみにし、三浦春馬主演のミュージカル『キンキーブーツ』に大いに沸いた。目下ドラァグ・クイーンのメイクへの憧れが止まらない私を釘付けにしたのが、鏡の前でアイラッシュ(つけまつ毛)を試すことができるコーナー。さりげなく盛れるナチュラルと、思い切り変身を楽しめるクリエイティブの2タイプがあるなか、クリエイティビティが爆発した華やかなものを2つ購入。
壁面に並ぶ種類豊富なブラシの誘惑を振り切って、ようやくお会計に。メイクアップフォーエバーのアーティストにしか聞けないようなTIPSをメモしまくり、誰かにウケることよりも自己表現を優先したエッジの利いたメイクにサムズアップを送りながら次の目的地へ。
2019年上半期、予算に糸目をつけずにベストコスメを挙げろと言われたら、「ヴァルモン」のクレンジングクリーム「ワンダー フォールス」と答える。けれど、誰にでも勧められるわけじゃない。だって、洗い流してしまうものなのに、200㎖で16,500円もするから……。
確かに驚きのプレステージ価格だが、確実に投資の価値はある。ひとつ使い切った感動が冷めやらぬうちにおかわりしようと、同じくB1Fの「ラ・メゾン・ヴァルモン」へ。最近注目を浴びている肌の常在菌バランスにも着目した、素晴らしく優しい洗い心地の洗顔「バブル フォールス」(8,000円 150ml)も一緒にリピートだ。夏はあれこれ与えるケアに投資するより、汚れはきちんと落としつつ大切なものは奪わず、むしろ「この後何も塗らなくてもいいのでは?」と思えるくらい肌がいい感じになる“落としもの”に投資するのが賢いと思う。
3月7日に開催された同商品の発表会で、何の気なしに「ワンダー フォールス」を手の甲で試したら、一回使っただけで肌がもっちりふかふかで、天女もかくやというまろやかな透明感を放ったことに衝撃を受けた。改めて手元で試し、「やっぱり、あれは錯覚でもプラセボでもなかったんだ」と感動を新たに。
発表会の帰り道には、仕事仲間と一緒に「クレンジングだけであんなにちがうなら、ラインで使ったらどうなっちゃうんだろう」と必死でヴァルモンのエステメニューを検索した思い出がある。ここ「ラ・メゾン・ヴァルモン」では、トリートメントも受けることができ、ちょうどさっきエステを終えたばかりだというBAさんに話を聞くことができた。まず目を奪われたのが、私の顔の肌よりはるかににきめ細かい、最高級のつきたて餅みたいな手! 施術する人の手が、顔を超えるレベルで美肌になってしまうといいう、凄まじいヴァルモン力に慄く。
クレンジングでハマってしまったヴァルモン。次に使うなら何がオススメなのかを教えてもらう。餅みたいな手のBAさんによれば、基本の美容液とクリームをコツコツ使うだけでも、あの肌になれるという。安くはないけど、とっても興味がある。また別のシャンプーのCMみたいな美髪の人からは、ヘアケアを勧められる。ヴァルモンの顧客単価は70,000円と聞いていたけれど、むしろ70,000円で収められる人がすごく堅実に思えてきた……。
今日のところはクレンジングと洗顔だけ買うことにして、売り場を後に。中にいる人もやってくるお客さんも、全員美肌だったことを明記しておきたい。
コスメフロアでヒートアップした気持ちをクールダウンさせるべく、1フロア下がってB2Fの「辻利」へ。京都は宇治が誇るお茶の老舗の味が愉しめる、関東初にして唯一の店舗だ。
個人的に、リラックスしながら覚醒している状態がいちばん集中できるし、実力を発揮できる気がする。だから仕事中に飲むのは、コーヒーでも紅茶でも、ましてやエナジードリンクでもなくもっぱら緑茶。茶葉の栽培段階から特別に手をかけ、上品かつ丁寧に煎られた辻利のお茶は、リラックス&ストレスリリーフに優れたテアニンが豊富。そのテアニンの醍醐味を最大級に味わい、ほどよくカフェインの恩恵も得ることができるのが、玉露だ。とりわけ辻利の玉露は、舌の両サイドが唸るだし汁のような旨味が自慢。私の中の海原雄山(漫画『美味しんぼ』に登場する美食家)も「ムムッ」とご満悦。
手土産にするなら、「京濃い茶テリーヌ 彩り果実」(2,000円)一択。宇治抹茶を贅沢に使用し、ホワイトチョコレートを練りこんだコクのあるテリーヌに、季節の果実やナッツを贅沢に入れたGINZA SIX限定のスイーツだ。
この日は、特製ボトルに入った宇治煎茶の冷茶(417円)をテイクアウト。「金色透明」と称される涼やかな宇治カラーと、上品でまろやかな風味の奥からほどよく漂う香ばしさを一度味わったら、もうペットボトルのお茶には戻れないかも。
抗酸化とアンチエイジングに優れたカテキンたっぷりのお茶は、ビューティクルーズの締めくくりにふさわしい。喉を潤してリフレッシュしたら、もうひと頑張り。
Text:Anna Osada Photos:Chisato Hikita Edit:Yuka Okada
GINZA SIX EDITORS Vol.80
長田 杏奈
ライター。美容をメインに、インタビューや海外セレブの記事を手がける。2019年6月に著書『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)が刊行予定。Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中