Individual,Personal,Universal
いまの私。パーソナルな美しさ
個を後押しするビューティこそが普遍的な美しさをつくる。ここではビューティライターとして支持を集めるAYANAさんが3様の表現者の今をヒアリングし、セレクトした各々の支えとなるGINZA SIXのアイテムを、エッセイとともにご紹介。
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<01>
Ninon|Actor, Model
“外見以上の美しさを、お互いに認め合える世界がいい”
18歳、高校を卒業したばかり。幼い頃からモデルとして活躍してきた新音さんにとって、美しい人とは?「人間はみな美しいと思っています。全ての生き物には必ず美しさが備わっていて、誰かと比べたり、優劣を競うものではないはず。それを理解し、自分であることに誇りを持っている人に魅力を感じます」。そう話す彼女には、ルッキズムに悩まされてきた経験がある。「幼少期からモデルの仕事を始めました。けれど、そのせいで外見ばかりに注目され、中身を見てもらえないことも多かった。私にも考えがあって面白い話もできるのに、興味をもってもらえず、幼い頃は寂しい思いをしていました」。それもあってか、外見以上に精神性における美しさを探求したいという気持ちが強いそう。クリエイティブなことへの関心が高く、絵を描くことや写真を撮ること、文章を書くことが好きで、昨年の冬からは小説も書き始めた。現在は俳優・モデルとして活躍し、演技の仕事を楽しみながら、その先にある動画制作やプロデュースの仕事にも興味があるという。
写真/レモンとベルガモットが主役。香り立ちが軽く、カジュアルに使える。ブルー メディテラネオ ミルト ハンド&ボディウォッシュ 300mL ¥8,580/アクア ディ パルマ(B1F)
ずっと長かった髪を最近バッサリと切った。「ピアスも開けて、これまでの自分のイメージに反抗しているところなんです」と笑う。自分の男性的な部分を表現したくて、マスキュリンなスタイルを模索中。ニューウェーブやオルタナティブロックなど大好きな音楽の影響も色濃い。でも、メイクはフェミニティを大切にする。その両性的なバランスに、自分らしさを見つけたいという。独自のメイクテクニックはどこで磨いたのだろう。「世界中の動画をひたすら見て研究しました。メイクは会う人によっても変えます。女友達と会うときはギャルっぽく、男友達と会うときはラフに。相手が自分に求めるものを察知するのが得意だから。自己イメージの破壊も、人に迷惑がかからない程度に。その線引きはわきまえていたいです」。これからもずっとクリエイティブな仕事をしていきたいという。「毎日違う人に会い、色々な考え方に触れることができる今の仕事が大好き。海外にも出てみたい。自分のやりたいことと、他者から求められるもの、どちらも追求しながら高みを目指せたら最高。今は10代なりのキャラクターに試行錯誤している段階だけど、いつかは尊敬する母のような、大人の女性が持つエレガンスも探求したいです」。
写真/ミステリアスなラベンダーの光をオン。「ファンデの上からでもよれないですね。素肌っぽいツヤがきれい」(新音さん) ボーム エサンシエル リラ ¥6,600/シャネル フレグランス&ビューティ(B1F)
Ninon
Profile:新音/2004年東京都生まれ。幼い頃からモデルとして活躍。ビューティからファッションまで幅広い表現を得意とする。2018年には映画『Blue Wind Blows』で俳優デビュー。2022年TV番組『オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない』出演。絵画、イラスト、文章など多岐に渡るクリエイティブな才能をもつ。
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GINZA SIX’s Beauty Floor
自分らしさを磨き、進化させていく新音さん世代へ。自分のチャームを後押しするためのアイテムやサロンを、GINZA SIXビューティフロアからセレクトしてレコメンド。
01.印象的な目もとを、これ1本で
まつ毛にはマスカラ3種を重ねて使うというこだわり派の新音さん。ボリュームと長さの両方を叶え、エレガントに仕上げてくれるマスカラはいかが。ノワール ジェ ¥5,500/ラ ブティック ゲラン(B1F)
02.毛穴が目立ちやすい小鼻のケアに
「母ゆずりの鼻の形を最近愛おしく感じる」と新音さん。キメを整えるローションでトータルなお手入れを。Mアクティヴ トリートメント エッセンス ローション N ¥6,380/クラランス(B1F)
03.アクティブにボディメンテナンスを
パーソナルで効率的に美しさを磨くサロン。「自己流を見直したい」(新音さん) 加圧+ビューティストレッチ 60分(初回体験) ¥7,500/ビューティー テラス ギンザ ~ドレス サークル~(B1F)
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現在地から、感性と視野を
思い切り広げていく時期
自分が何者か、まだわからない。可能性は未来に向かって無限に広がっているように見える。その状態はきっと、大人からすると羨ましいものだろう。とはいえできることに制限もあって、今はまだ視野が広いとは言えないかもしれない。だからこそ、感性をやわらかく伸ばし、磨き、高めることに躊躇しないで、どんな自分も試してみるといい。好きなこと、やりたいことは何か、自分のチャームポイントはどこなのか。まずはそんな視点からコスメを選んでみる。それによって高揚や幸福を感じたり、自分の好きなところをより気に入れば、そこからまた新しい景色が見えていく。小さくまとまる必要なんてない。人から見られる自分、世の中の枠組みにハマる自分、そればかりを意識しないでほしいと思う。大人には必ずいつかなってしまうのだから。若いって素晴らしい、大人はつまらない、そういう考え方もあるかもしれないけれど、必ずしも真理ではない。ただ、若いときにどう過ごすかが大人の自分を創っていく。これは紛れもない事実。好きを増やし、ときめきを探して、可動域を広げていこう。
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<02>
Yasutaka Ochi|Florist
“自分が心地よいと感じる、整合性のポイントを大切にする”
「幼い頃から攻撃的で、ずっと自分を持て余していました。20代でそのエネルギーを創造に使うことを覚え、30代中盤の今は使い切った感覚があります。ようやく人に優しくなれたのかな」と話す越智さんは、花屋「ディリジェンスパーラー」を営むフローリスト。美しい人の定義を問うと「自身の扱いに長けている、タッチのやさしい人」と返ってきた。「他者に期待や要求をせず、自分自身を楽しませることができ、その心地よさをもって、他者の気持ちにもアクセスできる。そんな人には拍手を送りたくなります。花を扱うビジュアルの世界で仕事をしていると、造形的・外観的な美しさを問われる機会が多いのですが、今は心地よさ、やさしさといった心理模様のほうに興味があります。ただもちろん、その人自身がコンフォートないい状態であれば、それは表にも現れてくるものですよね」。
写真/目もとの肌にうるおいを与えつつカバーもしてくれるスキンケアコンシーラー。目周りに透明感を与えながら印象をヘルシーに。CR アイカバー ジェル SPF25 全5色 各10mL ¥4,180/ベアミネラル(B1F)
最近は、目の下のクマや肌の質感などの年齢による外見の変化と、今の自分自身がとてもフィットしていると感じているそう。「天然素材や、少し着古したような服を着ることが増えて、今は肌や肉体もナチュラルなものが調和していて心地いいと思っています。少しくたびれた感じ」。その代わり、清潔感はとても大事にしているという。「例えば爪。花屋のスタッフにもここだけは注意します。ヒゲをボサボサに生やしていたり、古着でまとめていたりしても、爪がきれいに手入れされていると、人や花に触れる部分をきちんとしているんだなという安心感を与えますよね」。加齢による変化に、必要以上に不安がりたくないという危惧もある。「社会的な通説や他人からの投影を反映しすぎると苦しくなってしまうから。今は便利なものがたくさんあるけれど、そこに溺れてしまうと、自分らしさが曖昧になる。創造性も損なわれるのではと感じています。僕自身は、持って生まれたものと、選択したものの組み合わせに胸を張れる自分でいたいです」。
花だけでなく、文章や写真を通したクリエイションでも私たちを魅了する越智さんだが、「僕は偉人ではないから、答えを導き出して説くことには興味がない」という。「ただ、自分が考えていることが、漠然としていながらもいいものにつながっている予感がする、という眼差しの共有はしたい。それによって物事の捉え方に少しの変化が生まれたり、共感をしてもらえれば、面白いし、嬉しいです」。
写真/自然界のエレメントを集結させた美容液。「理科的なアプローチが好み」と越智さん。SC ハーモニー レクストレ 20mL ¥109,120/ラ·プレリー ブティック(B1F)
Yasutaka Ochi
Profile:越智康貴/1989年埼玉県生まれ。フローリスト。文化服装学院を卒業後、花の世界へ。2011年にフラワーショップ「ディリジェンスパーラー」を開業。日常的に楽しむカルチュラルな花のあり方を提案する傍ら、イベントや広告ヴィジュアルにおける装飾も行う。現在はふたつの会社を経営し、文筆、写真の分野でも活躍。
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GINZA SIX’s Beauty Floor
広々とした空間が魅力のGINZA SIXビューティフロアは、男性も自分のペースでじっくりと楽しめるはず。越智さんへのさらなるおすすめメニューはこちら。
01.みずみずしくも神秘的な、月の女神の香り
香水は毎日使うという越智さんに植物で月の女神を表現した清潔な香りを。「食後酒みたいな香りがいい。月が好きなので嬉しい」(越智さん) La Luna 100mL ¥50,600/フエギア 1833 ギンザ(3F)
02.つるんとしたツヤを指先に
「ネイルはハマると楽しいですよね」と越智さん。指先にクリーンな洒落感を演出してくれる、透明感のあるカラー。uka カラーベースコート ゼロ 2/0 5/0 10/0 各10mL ¥2,200/ウカ(B1F)
03.あくまでも自然な、美しい眉毛
自眉を活かしたスタイリングをプロの手で。自分の骨格に沿って眉がさりげなく整っていると、清潔感のある印象が生まれる。Eyebrow Styling(WAX)1.5h ¥8,800/ヴィタェ(B1F)
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どんな自分でありたいか、
どんな自分を主張していくか
男性にとって、美容はもう特別なものではなくなった。自分のイメージをマネージしていこうと考えるとき、美容の存在は大きな助けになるはずだ。顔貌をはじめとした表層を整えていく、見栄えを流行に沿ってデフォルメしていく、そんなときに役立つから──だろうか? 美容の本質は、決してそこに終始するものではないと思う。そもそもの自我をどう表現し、何を他者に伝えていくのか。コミュニケーションを媒介する役割を大きく担っているはずだ。だから美容の扱いかたには、他でもない自分の個性が映し出される。どんなアイテムを手に、自身をどうデザインしていくのか。例えば清潔感、たとえば表情、その一つひとつに内面性が介在し、他者へのメッセージが含まれていく。「自分らしさ」を独りきりで作りあげるのは、おそらく不可能に近い。他者のある世界に生きているからこそ、自分の個性を、その輪郭を、くっきりとさせたいと思うはずで、そうして探し当てていく自分らしさが、他者に無理のない形でいい影響を及ぼし、それにより自分も快くいられたら、きっといい。
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<03>
Erika Kobayashi|Artist, Cartoonist
“世界と誠実に向き合う。そのぶんだけ、自由になれる”
小説、漫画、インスタレーションなど、広い表現の幅を持つ小林さん。そこには、家族や歴史、記憶、日記といった共通のモチーフが浮かび上がる。「目に見えないもの、特に消えてしまった過去の声をどう拾って作品にするかをずっと追求しています」。その背景にはふたりの人物の存在が。「アンネ・フランクと父の、戦時中の手記から多大な影響を受けています。父の日記には“又一日命が延びた”という切実な内容の後に、番茶の美味しさやドイツ語の勉強についての記載があって。明日生きられるかわからないのに食や勉強を楽しむ姿勢にハッとしました。無邪気な等身大の思いと、社会で起きる大きなうねりはつながっているんだと。それを忘れたくないし、伝えていきたいと思います」。
小林さんが考える美しい人とは、真摯に生きる人。世の中の既成概念に縛られることなく、自分に、そして世界に対してどれだけ誠実であれるか。その目線は、周りの目を気にしてしまう気持ちを乗り越え、自分がどう思ったかを誠実に記したいという、小林さんの覚悟にもつながっている。
写真/作業スペースにコンフォートな空気を。「煩雑な空間もお気に入りの香りがあると美しく感じます」(小林さん)。イングリッシュ ペアー & フリージア セント サラウンド™ ディフューザー ¥14,850/ジョー マローン ロンドン(2F) ※6/2(金)〜リニューアルオープン
ご自身の中での好きなパーツを伺うと、迷いなく「手です」とのお答え。「ものを書いたり、作ったりする自分の手が愛おしい。もちろん年齢を重ねて、シワや血管が浮いてきたりと変化もしていますが、それも含めて、いいな!って思っています。昔は衰えに対して怖さがあったけれど、今はこの瞬間まで生きてきた手がこうしてここにある、その事実が尊いと感じます」。仕事と育児に忙しいこともあって、日焼け止めを欠かさないだけで、メイクはほとんどしないという。「ハマれば夢中になるんだろうなと思いつつ、特に凝ることもなくここまで来てしまいました。それよりも、内面を磨けば美しくなると信じて、知のほうに投資。今は美しさの定義もどんどん多様になってきているから、ありがたいです」と笑う。コロナ禍では、不要不急のものを価値がないとする風潮が後押しされてしまったと危惧する。「日々のちょっとした雑談が、どんなに心を潤してくれるか。生産性のないことが持っている価値を、大切にしたいなと思います。誰かが話さなければ忘れられてしまうけれど、自分には大切なもの。それを大事にしたいし、書き留めていきたい」。
写真/「ネイルは欠かさず塗る大好きなアイテム」(小林さん)。手指を綺麗に見せてくれるヌードブラウンは、1本あると重宝。ディオール ヴェルニ 323 デューン ¥3,740/ディオール ビューティ(B1F)
Erika Kobayashi
Profile:小林エリカ/1978年東京都生まれ。目に見えないものや消えてしまった声、記憶、家族といったテーマに向き合い、丹念なリサーチに基づく史実とフィクションを織り交ぜた作品を制作。最新小説『最後の挨拶 His Last Bow』、マンガ『光の子ども1-3』他、映像やインスタレーションなど幅広い表現手段をもつ。
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Discover More on
GINZA SIX’s Beauty Floor
小林さんのように多忙な日々をおくる人へGINZA SIXビューティフロアからレスキューアイテムを。時短できる飛び道具を味方に、さらにビューティを楽しんで。
01.ながら美容はマスクにおまかせ
なかなかセルフケアの時間が取れないときに、ラグジュアリーなアイパッチを。作業中に目もとに貼っておくだけでOK。アイ インスタント マスク5P ¥20,350/ラ・メゾン・ヴァルモン(B1F)
02.隙間時間に優雅なハンドケアを
美白有効成分配合、UV機能も備わったハンドクリームで、いつもしっとりとしなやかな手指へ。クレームプールレマン SPF18・PA++(医薬部外品)75g ¥9,350/クレ・ド・ポー ボーテ(B1F)
03.シャワーでスキンケアという新発想
いつものバスタイムがスペシャルケアの時間に。ウルトラファインバブル、マイクロバブルの2つの泡がディープクレンズから保湿までを担う。リファファインバブル ピュア ¥30,000/リファ(B1F)
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自分という器を磨きながら、
あとに希望を残していく
歳相応の装いや、美容におけるたしなみ。数多の情報がひしめくなかに身を置きながら、私たちは知らず知らずのうちについ正解を求めてしまう。そこに標準をあわせる作業は、ときに安心をくれるものかもしれない。けれどそこにもし、自分自身の欲求とのズレが生まれてしまった場合には、見て見ぬフリをせず自分に素直になるよう心がけたい。内なる声を丁寧に拾うことと、自分勝手に生きることは決してイコールではないのだから。前者は骨の折れる作業だけれど、自己を尊重するプロセスであり、心身のウェルネスを求めるなら蔑ろにはできないはずだ。大人の世代はそれぞれの人生で経験を重ね、異なる視座を作り上げてきているのだから、一人ひとりが表現する美しさは、もちろん多様であってしかるべき。ここから続く、決して無限ではない未来を、自分のいのちをどんなふうに使って生きようか。これまでの歴史をどう活かしていこうか。できるだけ欲張るのもいい。譲れないひとつにこだわるのもいい。責任をもって自由を楽しむ姿勢は、きっと誰かの支えにだってなる。
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●AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、インタビュー、ブランドカタログなど広く執筆。化粧品メーカー企画開発職の経験を活かし、ブランディングや商品開発にも関わる。2021年、エッセイ集『「美しい」のものさし』(双葉社)を上梓。文章講座 EMOTIONAL WRITING METHOD主宰、OSAJI メイクアップコレクションディレクター。
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Edit: Miwa Goroku (ALI)
Text: Ayana
Photos: Eri Morikawa (portrait), Yoshio Kato (item)
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