[TOKYO]あなたが知らない銀座の夜の過ごし方
[SEOUL]夜の街に多様を与えるイノベーション
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Out All Night in Ginza
あなたが知らない銀座の夜の過ごし方
人々の交流を受け止め、文化を育む街の包容力は、夜、試される。もしも、夜を越えて銀座でも遊ぶなら?時間帯ごとに移り変わる気分に寄り添う、最旬ナイトスポットへ。
街の懐の深さを、朝まで味わうフルコース
まだまだ話し足りない。向かい合ってそんな気持ちになるのは久しぶりに再会した友人か、最近ちょっと忙しそうな恋人か。それとも仕事で出会って共にプロジェクトを進めるチームになった相手? 旅で銀座を訪れたのなら、心ゆくまで楽しみたい。夜、人は絆を深める。しかし、気分によって、時間帯によって求めるお酒や空間は違う。そんな大人のわがままにも応えるのが、懐の深い銀座の夜だ。
空腹に気づく21時、「銀座月や」の澄み切った繊細な豚骨ラーメンがじーんと染みる。程よい満腹感で向かうのはバー「FOLKLORE」。日本酒や焼酎、茶、国産スピリッツを巧みに取り入れ、日本ならではの地域文化を織り込んだカクテルの風味でほろ酔いになる。途切れなく言葉を交わすだけではなく、一緒に音楽に耳を傾けるのも心地いい午前零時。最高峰のサウンドシステムを誇る「GINZA MUSIC BAR」の席で名曲から連想する思い出を話す間、アルコールもいいけれど、果実味に溢れる爽やかなモクテルもいい。
いよいよ、夜が深まる午前3時。銀座には、深夜営業をしている老舗の喫茶店・スナック「みやざわ」がある。名物のたまごサンドをシェアして、革張りのソファで一息つく。夜を締めくくるのは、24時間営業の本格派プライベートサウナ。フィンランド式のロウリュと水風呂で芯から温まって疲れを癒そう。7時になったら、季節の木々が朝日に揺れる屋上庭園「GINZA SIX ガーデン」でくつろごうか。清々しい余韻のなか銀座を眺めて考える。さて、次の夜はいつ? どこに行こう?
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21:00
澄み切った豚骨ラーメンと最初の乾杯
ラーメン激戦区の銀座に新風を吹かせるのはGINZA SIX 6Fに今年4月にオープンした「銀座月や」。福岡県・糸島豚や国産豚の旨味が溶け込んだ香り豊かなスープと、引き締まった細麺は上品な味わい。ラーメンは看板メニューである「クリア豚骨」(¥1,320)1品のみで、別皿に添えられた黒胡椒がぱらっとかかった低温調理の豚バラ、ネギ、かぼす、海苔が次々にアクセントを加える。福岡県産にこだわった食材にマッチする、やはり福岡生まれの日本酒やクラフトビールを取り揃え、ナチュラルワインまでグラスで一杯から飲めるから気楽な一軒目にも。
●Shop Information
Address: GINZA SIX 6F
Open: 11:00 – 16:00(LO 15:30)、
17:00 - 23:00 (LO 22:00)
Closed: 無休
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22:30
日本固有の酒のストーリーを体感するカクテル
FOLKLORE(フォークロア)
GINZA SIXの13Fにある「MIXOLOGY SALON」を手掛ける気鋭のミクソロジスト南雲主于三さんが、日本のテロワール(地域文化)を体験し受け継ぐ場所としてスタートしたバー。ワイングラスで飲む「ブーケ」(¥1,650)は、日本酒にジャスミンティー、エルダーフラワーなどを合わせ、華やかな米の甘味をベースに、顔を花束に近づけたときのような色彩を感じる味わい。麦焼酎にピーナッツバターウォッカをブレンドし穀物の香りが広がる「クリーミーナッツ」(¥1,760)はどこか懐かしい甘味とコーヒーに似た苦味が混じり合う、大人の夜にふさわしいカクテル。
●Shop Information
Address: 東京都千代田区内幸町1-7-1 日比谷OKUROJI G27
Open: 16:00 - 23:00 (LO 22:30)
Tel: 03-6770-8785
Closed: 第3月曜日
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00:00
名盤アナログレコードの音に浸りながら
GINZA MUSIC BAR
(ギンザ ミュージック バー)
音楽プロデューサーの大沢伸一さんと、世界中の最高級コーヒーを届ける「トリバコーヒー」で代表を務める鳥羽伸博さんが手掛けるリスニングバー。バーカウンターに隣接するターンテーブルにはセレクターが立ち、3,000枚を超える名盤アナログレコードから名曲を流す現代のサロン。甘酸っぱいベリーのノンアルコールカクテル「ソフトベリー」(¥1,500)は、目にも鮮やかで次第に深まる夜にフレッシュな果実の潤いを添える。深い青とウッドの質感を基調とした店内の奥にはロウソクが灯るソファ席もあり、肩肘を張らずゆったり過ごせる雰囲気が流れる。
●Shop Information
Address: 東京都中央区銀座7-8-13 ブラウンプレイス4F
Open: 19:00 – 4:00
Tel: 03-3572-3666
Closed: 日月
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03:00
小腹が空いたら老舗喫茶で絶品たまごサンドを
みやざわ(ミヤザワ)
高級クラブが軒を連ねる銀座8丁目で、1983年から続く喫茶店・スナック「みやざわ」は、この街を訪れた多種多様な人々が、なんだかホッとする味わいの食事と、落ち着く空間を求めて集まる憩いの老舗。16時から提供がはじまる名物の「たまごサンド」(¥1,000)は、塩、胡椒、マヨネーズだけで味つけた卵を、ふっくらと軽い食パンで挟んだ正統派で「アイスコーヒー」(¥620)との相性は抜群。生ビール(¥700)なら、ヒレカツサンド(¥1,000)がおすすめ。18時以降は近隣への出前も受けていて、まさしく、銀座で夜を過ごす人々の小腹と心を満たす名店だ。
●Shop Information
Address: 東京都中央区銀座8-5-25 西銀座会館1F
Open: 11:00 – 14:30、16:00 – 4:00
Tel: 03-3571-0169
Closed: 土日祝
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04:30
本格プライベートサウナでととのう最旬提案
KUDOCHI sauna
(クドチ サウナ)
銀座の中央通りにサウナがあるとは。 6つの全室にフィンランド式のセルフロウリュと水温調整ができる水風呂を備え、モダンな内装デザインが新鮮な「KUDOCHI」は完全個室ラグジュアリーサウナ。会員登録を済ませてウェブで予約すると発行される専用QRコードで解錠する無人受付システムのため、一晩中、目一杯遊んだ充実感と疲労感のなか、自分のペースでリラックスしたまま入退室できる。120分利用の室料は、定員2名のスタンダードで¥8,000、3名のプレミアムビップが¥15,000、6名のプラチナビップは¥26,000。アメニティも充実している。
●Shop Information
Address: 中央区銀座8-8-5 陽栄銀座ビルB1F
Open: 24時間
Tel: 03-6447-2129
Closed: 無休
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Innovating Seoul’s Bar Scene
날로 진화하는 서울의 바(Bar) 풍경
夜は1日を癒すだけでなく、そこで巻き起こる流動性が文化をドライブさせていく。明確なアイデアを打ち出すソウルのコンテンポラリーなバーを巡りながら、今なお勢いを増していく韓国カルチャーの源流を探った。
夜の街に多様を与えるイノベーション
欧米圏の主流文化を取り入れるだけではなく、自分たちが暮らす街のアイデンティティを基盤にした飲食店は、発見に満ちている。
モダンな内装が心地いい「ZEST」は容器が廃棄物として出てしまう既製飲料を使わず、店内のラボを駆使したサステナブルなカクテルを提供し、2023年の「アジアのベストバー50」で5位にランクインした新進気鋭だ。「フォーシーズンズホテル ソウル」のバー「OUL」はオリジナルの器やスタッフの制服、メニューのデザインなど細部に至るまで、韓国の伝統と革新をダイレクトに表現。伝統酒のカクテルとトッポギやチヂミなど韓国の絶品ソウルフードで乾杯に次ぐ乾杯。
韓国の伝統家屋「韓屋(ハノク)」が残る景福宮の北側、西村(ソチョン)エリアにある「BAR CHAM」は古民家風の空間で韓国の地酒や特産品を取り入れた、独創的なカクテルが飲めるバーだ。近年、ソウルで最もホットなエリアになりつつある狎鴎亭(アックジョン)エリアに足を運ぶなら「RPM」に立ち寄りたい。クラブではないが流行の音楽が大きな音量で流れる形態そのものが新鮮。
韓国で賑わうナイトシーンの仕掛け人に共通するのは、ユーザーと同じ目線で「自分たちが楽しむ場所を、自分たちなりにつくる」というオリジナリティを求める気概があること。変化を待つのではく、起こす。これは国内外に発信されるポップカルチャーが人の心を動かし継続的に評価されてきた、韓国のエネルギーの源流とも通じる姿勢かもしれない。
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サステナビリティを推進する飲酒文化
제스트(ゼスト | ZEST)
シグニチャーメニューのカクテルは全て、持続可能性に向かっていくアプローチを持つ狎鴎亭(アックジョン)エリアのバー「ZEST」。地元産の食材を使うのは、鮮度のよさと、流通コストや炭素排出の削減のため。また、果物の皮や切れ端は余すところなく蒸留して使用する。新鮮な食材を使っているからこそ叶う、清廉な味わいのカクテルが評判で国内外の人々で賑わう。「シティビーズニーズ」(₩25,000)はラベンダーの香りを移したジンにソウルの養蜂場から直接仕入れた蜂蜜の甘み、シトラスの爽やかな風味を加えて、アリッサムの花を添えた。
●Shop Information
Address: 江南区島山大路55ギル26/26, Dosan-daero 55-gil, Gangnam-gu
Open: 18:30 - 翌2:00 (土・日15:00 - 翌2:00)
Closed: 無休
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ソウル独自の地域文化に敬意と再解釈を
오울(オウル | OUL)
最高級のホスピタリティと、独自の地域性を着想源とした多様なサービスを提供する「フォーシーズンズホテル ソウル」に2022年3月、新たにオープンしたバー「OUL」は、MZ世代の若者にも気軽に楽しんでもらいたいと設定されたリーズナブルな価格で、韓国の伝統酒に現代的な感性をフュージョンさせたカクテルが楽しめる。漆器で飲む「シッケ」(₩25,000)は、韓国で長く親しまれていて、甘酒に似た素朴な甘みのある米の発酵飲料を、国内のクラフト焼酎、チャイ、カボチャのコーディアル、ミルクを融合させて再現したローカルな味わい。
●Shop Information
Address: 鍾路区セムナン路97 2F/2F, 97, Saemunan-ro, Jongno-gu
Open: 18:00 - 24:00
Closed: 日曜、月曜
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物語を紐解くように楽しむ創作カクテル
바참(バーチャム | BAR CHAM)
2023年「アジアのベストバー50」で13位にランクインした「バー チャム」は、韓国の伝統酒と地域の特産物をマッチングさせたカクテルが楽しめるバー。Netflixオリジナル番組『ペク・ジョンウォンさんの呑んで、食べて、語って』にも登場する有名店だ。「ソンピョン」(₩21,000)は旧盆でふるまわれる半月型の伝統的なお餅をモチーフとして栗のお酒をベースに、シナモンや生姜のシロップをブレンドし、よもぎやレモンなど風味が移り変わる。絵本のように構成されたメニューからバーテンダー、イム・ビョンジンさん考案の独創的な一杯を。
●Shop Information
Address: 鍾路区紫霞門路7ギル34/34, Jahamun-ro 7-gil, Jongno-gu
Open: 18:00 - 翌1:00
Closed: 火曜
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街に開かれた最先端ミュージックバー
알피엠(アールピーエム | RPM)
広々とした店内と、開け放たれた窓。DJが選曲する音楽が聞こえるテラス席も気持ちがいい。「RPM」は迫力のあるサウンドを座って楽しむミュージックバーの先駆け的な存在。音楽を目当てに訪れる人もいれば、食事の前後や若者でひしめく狎鴎亭(アックジョン)エリアのクラブから出て、ふらっと立ち寄る中継地点としても人気。ヨーロッパのレストランで飲むようなきりっと冷えた食前酒をイメージしてオーナーのシン・ヨンチョルさん自ら考案した白ワインとアペロールをベースとした甘酸っぱいカクテル「RPMサマー」(₩15,000)でソウルの夜がスタート。
●Shop Information
Address: 江南区彦州路172ギル64/64, Eonju-ro 172-gil, Gangnam-gu
Open: 11:00 - 翌1:00 (金11:00 - 翌3:00, 土12:00 - 翌3:00, 日12:00 - 翌1:00)
Closed: 無休
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[TOKYO]
Edit: Shunta Ishigami (MOTE)
Photos: Keita Noguchi
Text: Yoshikatsu Yamato
[SEOUL]
Edit & Text: Yoshikatsu Yamato
Photos: Hana Yamamoto
Coordination: Shinhae Song (Seoul / TANO International)
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