[TOKYO]わたしのための香りが似合う街
[SEOUL]フレグランスがもたらす新たな都市体験
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Purely for Me
わたしのための香りが似合う街
街の成熟に付随して、誰かのためでなく自分軸での選択が当たり前となったGINZA SIXで出会う名香を、銀座の建築を切り取った写真とともにご紹介。
内面から輝きを高める手段
湿度の高い日本で、香りを日常に取り入れるのは難しいと言われてきたけれど、実はその理由は湿度ではなく国民性だったのかもしれない。調和を大切にする日本人の香り選びの基準は、異性に愛される、好感度が高い、職場で邪魔にならない……と、周囲の目線が基本だった。でも、多様性を認めて個性を尊重するムーブメントが到来し、それこそメイクを男性も楽しむ時代になったように、日本人の香り選びにも変化が訪れている。
軸は周囲から“わたし”へ。おしゃれして出かける日、憧れブランドのフレグランスで自分を鼓舞するのもよし。ロングセラーの名香に触れて香りの解釈を知り、奥深いビューティの世界に浸るのも楽しい。お風呂上がりにフレグランスボディミストをたっぷり浴びて、潤いと癒しの香りに包まれれば至福……。そんなふうに自らをケアし高めることができるのが、香りの本来の力なのだ。
そしてたくさんの中から自分にピンとくるものを選びたいなら、GINZA SIXへ。ファッションブランドが手掛ける洗練された逸品から天然素材にこだわったビューティブランドの香り、フレグランスメゾンの個性豊かな香りまで、豊富なラインアップに次々と触れることができる。また、嗅覚は脳にダイレクトに刺激を与え、記憶を呼び起こすもの。纏うたび、ショップを巡った日のワクワクした体験が蘇る。内面からの輝きを引き出す最短距離、それが、銀座で選ぶわたしのための香りなのだ。
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人気リボンスカーフ“ツイリー”を冠したコレクションの新作。ジンジャーの花とライチ、ムスクの甘い香り。トゥッティ ツイリー ドゥ エルメス オードパルファム 85mL ¥22,660/エルメス・イン・カラー(B1F)
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1916年のブランド創立時から愛される、イタリアンスタイルを象徴する香り。レモンやベルガモットの爽やかさにフローラルが溶け合う。コロニア オーデコロン 100mL ¥24,860/アクア ディ パルマ(B1F)
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植物の恵みで保湿しながら香りを楽しむ、クラランスのアロマシリーズが今年リニューアル。写真の「オー ド ジャルダン」はオレンジなどの爽やかな香り。オー ド ジャルダン トリートメントフレグランス 100mL ¥6,380/クラランス(B1F)
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天然由来成分にこだわった、サステナブルなフレグランス。オレンジブロッサムの甘い香り。アクア アレゴリア ハーベスト ネロリア ベチバー(オーデトワレ) 125mL ¥21,340/ラ ブティック ゲラン(B1F)
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ジョー マローン ロンドンの人気の香りから、みずみずしく潤うボディミストが登場。全身にまとわせて。イングリッシュ ペアー & フリージア ボディミスト 100mL ¥10,010/ジョー マローン ロンドン(2F)
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Niche Fragrances and the Next-Gen
차세대와 니치 향수
ソウルでは、ニッチフレグランスブランドが急増中。美術館とコラボするブランドからスケーターが営むもの、独自のストーリーを描こうとするもの―。彼の地の景色を彩る香りをもっと知るべく、4つのオルタナティブなブランドのもとを尋ねた。
フレグランスがもたらす新たな都市体験
この数年、「ニッチフレグランス」と呼ばれる小規模なブランドがソウル市内に急増している。なかには異業種出身のクリエイターやミレニアル世代のチームが運営するものも多く、彼/彼女らは自然に他ジャンルのクリエイターとコラボレーションを重ねながら香りを使った実験に取り組んでいる。
アーティストと協業しギャラリーのようなショップをつくるものや美術館の展示空間へ香りを広げるもの、スケーターのコミュニティを接続するもの―新興ブランドの挑戦は、従来のフレグランスブランドがもっている華美なイメージを軽やかに裏切っていく。どのブランドにも共通するのは、ただフレグランスを売るのみならず、香りを通じた体験を空間や街へ広げようとしていることだろう。
コロナ禍がこうしたブームを引き起こしたわけではないものの、人々がリアル空間の価値を再認識するなかで香りへの注目が高まった側面もあるはずだ。とあるブランドのスタッフは「みんな服を着替えるようにフレグランスを使い分けるようになりましたね」と指摘する。その日の気分や気候、温度など条件に応じてフレグランスを使い分けることは、ただ香りに拘ったり知識を増やしたりすることではない。それは自分の暮らす空間への感度を高め、街の変化の機微を捉えることでもあるはずだ。ニッチフレグランスブランドの実験と挑戦は、私たちに街を楽しむ新たなセンサーを提供してもいるのだろう。
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同時代のクリエイターから愛される超新星
페사드(ペサード | pesade)
2022年にスタートした「pesade」はBLACKPINKのロゼなど著名アーティストが愛用し一躍注目のブランドに。香港の視覚芸術美術館「M+」などに作品が収蔵されるアーティスト、イ・グァンホが店内什器を手がけるなど、クリエイティブシーンとのつながりも強い。これまで「The New Error」など3種のシグネチャーモデル(100ml/KRW134,000)を展開してきたが、今秋から新たなシリーズをリリースし“第2章”へ移っていくという。
●Shop Information
Address: 龍山区梨泰院路49ギル16/16, Itaewon-ro 49-gil, Yongsan-gu
Open: 12:00 - 20:00
Closed: 無休
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スケーターによる異色のストリート・フレグランス
35센트(35セント | 35scent)
スケーターのキム・サンヒョンさんが立ち上げた「35scent」は今春ショップを立ち上げたばかり。音楽シーンともつながるストリートコレクティブ「Basecream®」など多くのショップとのコラボも展開中。ショップでは好きな香りを調合しオリジナルフレグランスをつくれるようになっており、今では人気のデートスポットに。シグネチャーモデル「Pretty Hardcore」(100ml/KRW35,000)など、手に取りやすい価格も魅力のひとつ。
●Shop Information
Address: 麻浦区延南路35/35, Yeonnam-ro, Mapo-gu
Open: 12:00 - 20:00
Closed: 月曜
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異分野との共創が生み出す無数の物語
수토메 아포테케리
(ストメ アポセカリー | SUTOME APOTHECARY)
ファウンダーのソフィー・ホンさんにとって、香りは「言語」だという。言葉で感情や出来事を描写するようにして調合された香りの数は数十種にもおよび、時期に応じてアトリエに並ぶプロダクトの種類も異なっている(50ml/KRW80,000~)。そのすべてがオーガニックな素材からつくられており、時間をかけて香りも熟成していく。近年はソウル市立美術館の展示空間用にプロダクトを提供するなど、異分野とのコラボも進行中。
●Shop Information
Address: 鍾路区玉仁6ギル2/2, Okin 6-gil, Jongno-gu
Open: 14:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜、火曜、水曜、木曜
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「時間」をテーマに描かれた5つのシーン
포인트투파이브세컨드
(ポイントツーファイブセカンド | POINTTWOFIVE・SECOND)
人間が匂いを知覚するまでにかかる「0.25秒」をブランド名に冠し、「時間」をテーマにした5つのフレグランスを展開。緑を感じさせフローラルな「UNKNOWN FOREST」(9ml/KRW40,000)は6:30、フルーティながら清涼感のある「UNRIPE SUN」(9ml/KRW40,000)なら17:30など、個々のプロダクトには時刻も付されている。時間の推移や伸び縮みをテーマにしたショップからは、SF的なイメージも喚起させられる。
●Shop Information
Address: 龍山区梨泰院路54ガギル26/26, Itaewon-ro 54ga-gil, Yongsan-gu
Open: 11:00 - 20:00
Closed: 月曜
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[TOKYO]
Edit & Text: Mari Otsuka
Photos: Junpei Kato
[SEOUL]
Edit & Text: Shunta Ishigami (MOTE)
Photos: Hana Yamamoto
Coordination: Shinhae Song (Seoul / TANO International)
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