GINZA SIX magazine Autumn 2021
Word of Inspiration GINZA SIX Welcomes 40 + New Openings
言葉に耳を傾けよう 新たに仲間入りした店舗からの便り
言葉で解き放たれる
話は数カ月前に遡るが、今号のGINZA SIX magazineでも取材に応えてくれたブエノスアイレス生まれのフレグランスブランド「FUEGUIA 1833」の創業者であるジュリアン・ベデルに、Zoomインタビューの機会を得た。
南米気質も相まったどこか開放的な人柄、これまで何度も日本を訪れてきたというジュリアンの経験値も手伝い、とかくかしこまりがちなインタビューというより、それは海の向こうの友人との心地よい雑談にも似た時間でもあった。何より、フレグランスの源となる自然界の植物を相手に生きる彼の一言一言には、長引く外出自粛生活の中で気づかぬうちに縮こまっていた我々の思考を、ふと解き放つものがあった。黒船的な衝撃とまではいかないまでも、また違った地球に根差す人の言葉をきっかけに全身の毛穴が開いていくような感覚と言えば、伝わるだろうか。
そんな体験から思い至ったのが、オーソドックスながら「言葉に耳を傾ける」と据えた、今号のテーマである。どんな企画も、日々の希望も復活も、基本的には予定調和でないフィジカルな体験や交流に紐付くもので、デジタルのやりとりだけでは完結したくない、さいごは人間的なものだと思いたい。そういう意味で、引き続き移動も出会いもままならないなか、GINZA SIXへの期待のあらわれとして、世界が元の日常に戻り始めているだろうあかしとして、対面での取材を受け入れてくださった数々の関係者、編集のあるべき姿としてマスクを欠かさず実を取りに動いてくれたすべてのチームとクリエイター、この一冊を実現させてくださったGINZA SIXにも、敬意を。
なお、表紙と裏表紙のイラストレーションの種明かしとしては、話を「聞く人」と「語る人」の対比を抽象的なアウトラインで描いたことで、そこに読者の方々と今号の多様な登場人物たちの関係を、重ね合わせていただけたらと。
加えてマガジンの体裁も言葉を主題にしたことからジャーナルとしての意味合いが感じられるように、これまでのGINZA SIX magazineとは趣を変え、よりハンディで新聞的ともいえる縦の折り入れに。一方で、ときにページの蛇腹を開くことで写真が立ち上がる一風変わったデザインの遊び心も、愛でていただけることを願って。
GINZA SIX magazine 編集長
岡田有加
2021年9月3日から11月7日まで館内にて配布中
※無くなり次第終了となります
《ブランドごとの各コンテンツの一部は下記をクリックの上でご一読できます》
〈PATOU〉The Joy of Rebirth よろこびとともにフレッシュに蘇る
〈FUEGUIA 1833〉Alchemy of Aromas 天然植物、化学、創造性のタッグ- 〈HOORSENBUHS〉Everything is Linked トライリンクに込めた人生観
〈SERAPIAN〉Luxury is Forever 顧客との絆が生んだ最高級品
〈UNITED NUDE〉House of Design 靴づくりに挑んだ建築家の冒険
〈LA BOUTIQUE GUERLAIN〉Connecting Past and Present 類稀な素材がつなぐ過去と現在
〈ACQUA DI PARMA〉For the Love of Italy 郷愁が生んだイタリアの香り
〈CLERGERIE〉Experimental Spirit コンフォートとエレガンスの革新
〈GIANVITO ROSSI〉Take a Step Forward 履く人の美しさを引き出す靴
〈DUNHILL GINZA CONCEPT STORE〉Redefining Menswear 伝統と変革で作る新時代の服
〈DEVIALET〉Crystal-Clear Emotion 澄んだサウンドがもたらす感動を
〈PASAND BY NE QUITTEZ PAS〉A Bridge to India ファッションの先にある今のインドを
〈GENTE DI MARE〉The Undiscovered Italy あなたが知らないイタリアの顔
〈恵那栗工房 良平堂〉〈パティスリー GIN NO MORI〉Nature's Blessings 森の恵みを菓子に包む
〈ARTISTIC&CO.〉〈AXXZIA〉〈Gluxury〉〈ReFa〉〈JILL STUART Beauty & PARTY〉〈MARY COHR〉Beauty Shop Hopping 体験を諦めることなく美しくあれ
Fashion