My Personal GINZA
ショップスタッフの課外活動
GINZA SIXで日々働く次世代スタッフに、館内だけでなく銀座の街にある、普段使いのお気に入りスポットを聞き取り調査! 高感度な課外活動の歩みをたどって見えてきたのは、いきいきとした銀座の素顔。
ーーーーーーー
◊ ◊ ◊
Person|玉木あずささん
shop|lululemon (5F)
Ginza Hangout|ピラティス専門スタジオ Aulii 銀座
◊ ◊ ◊
モノだけでなくコトも充実!
心と体をほぐす銀座での習慣
ヨガインストラクターとしてスタジオに勤務し、その後、アンダーウェアのブランドで働いていたという玉木あずささん。5Fの「lululemon(ルルレモン)」では、自らも運動を楽しむプレイヤーならではの視点と、様々な女性の体と向き合ってきた経験をフルに活用して、アクティブな女性が悩まされてしまいがちなアンダーウェア問題に丁寧に対応。お客様のライフスタイルに合わせたアドバイスをしている。
「ルルレモンは人と人のつながりやコミュニティを重視しています。お客様との関係はもちろん、スタッフ同士も一緒に汗を流して楽しんでいるんです。私たちはただ商品を売るのではなく、その先の体験をプレゼントするのが仕事。エデュケーター(教育者)と呼ばれて、お客様の心が躍ったり、体の調子を整えるサポートをするために、アイテムの素材や活用方法を伝えています」
写真/ルルレモン(5F): 友人へのプレゼントも自信を持ってルルレモンを選ぶというあずささん。 種類豊富なボトムスのなかでも、お気に入りは肌に密着するワンダーアンダー。
人と人のつながりを大切にする姿勢は、ショップの周辺にあるスタジオとの連携にも表れている。「ストアアンバサダー」と呼ばれるインストラクターとの関係を育て、ヨガやランニング、ピラティスなど、さまざまなジャンルのオンラインレッスンを配信するなど、マインドフルネスを実現するためのコミュニティ作りを行っている。
「GINZA SIXからすぐ近くのピラティススタジオ『Aulii(アウリー)』は、太陽の光が差し込む気持ちいい場所。代表の辻あかねさんは銀座エリアの新しいアンバサダーです。ハッピーな人柄と丁寧な指導で安心して体を委ねられます。都会的なイメージが強い銀座でも、ルルレモンがハブとなって、心地いいスウェットライフを発信したいなと思っています」
アウリー代表のあかねさんは、一般の方からダンサー、アスリートまで幅広く指導を行い、医療とも連携して、術後のケアピラティスや、女性のためのヘルスケアプログラムも手掛ける。彼女の他にも、個性豊かなスタッフが多数在籍し、確かな知識や資格のもと、年齢や性別を問わない様々なニーズに応えるピラティスプログラムが充実している。
写真 左/ピラティス専門スタジオ Aulii 銀座(中央区銀座4-9-6 陽光銀座三原橋ビル8F):目的に沿って体にアプローチする種類豊富なマシンが揃う。右/スターバックス(1, 2F):東京の店舗限定のボトルには、多様な表情を持つ街のシンボルが描かれる。
アクティブな生活を送るあずささんの休日の過ごし方は、もっぱらサーフィン。自然に触れることでバランスが整うという。そして、仕事でGINZA SIXに来るときにも、フレッシュな気分を保つためにしているルーティーンがある。それが、出勤前に1Fの「STARBUCKS(スターバックス)」でチャイティーラテを買って2Fの「三原テラス」で飲むことだ。朝の心地よい日差しと、大好きなチャイの風味で気分はすっかりオンになるのだとか。
「ほぼ毎日、マイボトルに入れてもらって飲んでいます。スターバックスのボトルは、世界各国、街ごとに地域限定のボトルがあるんです。色々なデザインがあって集めるのは楽しいし、海外旅行で買ったボトルをお店の方に渡すと、珍しいですね、どこで買ったんですか?とリアクションをくれるのもうれしいですね。バッグやお弁当、マイストローやタンブラーなど、自分のお気に入りを持ち歩くと気分も上がるし、エコにつながって気持ちがいい。自然と触れ合う休日や、毎朝のちょっとした習慣、自分の持ち物、そういうささやかな行動や選択によって自分の心身のバランスが保たれていると感じます。いい感じだな、と思える体験があったら、それを日常に取り入れてみる。そうやって自然と、自分にとって必要なアクティビティを楽しんでいるんだと思います」
ーーーーーーー
◊ ◊ ◊
Person|青木継一郎さん
shop|muta MARINE (5F)
Ginza Hangout|Les Frères AOKI
◊ ◊ ◊
グルメな地元民はやっぱり思う
銀座の本質は「親しみやすさ」
「銀座はホームタウンであり、自分のルーツ」と語るのは、5Fの「muta MARINE(ムータ・マリン)」の店長・青木継一郎さん。お父様は、数々の若手を輩出している江戸前鮨の名店「鮨 青木」の親方・青木利勝さんで、銀座の泰明小学校を卒業したという生粋の銀座育ちだ。
「銀座は、時代が反映されやすい街だと思います。グローバル化と言われていたときには、どこよりもたくさんの外国人の方々が行き交っていましたし、バブルの時代には、お金持ちの方がお洒落な遊び方をしていたと父から聞いたことがあります。時代ごとの空気感を映し出す街なんでしょうね」
写真/ムータ・マリン(5F):マリンスポーツやゴルフ、アウトドアでも活躍し、タウンユースにも最適なウェアや小物が揃う。青木さん着用のジャケットは伸縮性の高いメッシュ素材。フォーマルかつ快適な着心地。
そんな華々しい銀座の一面に想いを馳せる青木さんだが、彼が見てきたのは、銀座を訪れる人々が作り出す都会的な表情だけでなく、地域に根付き、人情味あふれるスタイルで続けてきた老舗や、ほっとする水辺の風景なのだという。
「育った街だから、ということはあるかもしれませんが、僕にとって銀座は親しみやすい街です。何を食べても美味しい町中華の『銀座亭』は父ともよく行きましたし、今も食べに行きます。路地に入るとカジュアルで活気に溢れる飲食店もあるんですよね。そして、少し歩けば川や海がある。橋からは海上バスが見えたり、夜景も綺麗です。散歩をしたり、自転車で移動すると気持ちいい街ですよ」
家族に料理人が多い青木さんだが、叔父の青木誠さんと叔母の三代子さんが2021年の9月にオープンした「Les Frères AOKI(レフ アオキ)」は、人気のフレンチレストラン。青木さんの祖母にあたるお母様が高齢になり面倒を見るためにも近くにいてあげたいと思い、パリで13年間愛されたお店を閉じて、下町情緒が残る東銀座に店を移した。
写真 左/レフ アオキ(中央区銀座3-12-6):ランチ、ディナーともに季節の食材で構成した8皿前後の絶品コーススタイル。 右/荻野屋(B2F):創業から130有余年にわたって味の伝統を築いてきた峠の釜めし。
「ムータ・マリンに来てくださるお客様との共通の話題は、まずスポーツ。でも、自然な流れでランチのおすすめを聞かれたり、手土産にいいものがあるかなど、食の話題になることも多いです。そのとき、銀座の名店やGINZA SIXのレストラン、B2Fの食品フロアについて知っていると話が弾みます。逆にお客様から教わって知るお店もあって、特にお気に入りなのが、6Fの『銀座 真田 SIX』。お蕎麦はもちろんセットのご飯ものが美味しくて、ランチで食べるとぐっと気分が上がります。あと、お弁当はB2Fの『荻野屋』で峠の釜めしを買うことも多いですね。昔から食べていた親しみの持てる優しい味が大好きです」
青木さんの話を聞いていると、GINZA SIXをはじめ銀座の街は、歴史の深い老舗の味と時代の空気感を捉えた現代的なもの、どちらもが共存しているのが特徴だと気づかされる。
「僕のショップも、置いてあるアイテムはこだわりのあるものであっても、お店はラフな雰囲気で親しみやすい、相談しやすい、そういう“〇〇しやすい”お店作りを意識しています。上品な接客も素敵ですが、まるで連れの友達とか、後輩のように接してもらえたら嬉しい。僕が好きな銀座の食も、味は最高に美味しいけど、雰囲気は親しみやすかったり、人情味を感じるお店です。そういう店が集まることで、街の魅力が生まれている気がします」
ーーーーーーー
◊ ◊ ◊
Person|戸川 誉さん
shop|WINE SHOP ENOTECA (B2F)
Ginza Hangout|アロセリア・ラ・パンサ
◊ ◊ ◊
カジュアルでありながら本格派
銀座に集う、本場の味に乾杯!
新卒での入社後、現在半年に満たないながらも、B2Fの「ワインショップ・エノテカ」でお客様の好みをじっくりと聞き取り、多種多様なワインからこれという1本をセレクトしてくれる戸川誉さん。
ワインとの熱い出合いは、大学時代のスペイン留学のとき。何気なく立ち寄ったバルで飲んだ白ワインとマテ貝のグリル、そして味の相性に衝撃を受けた。その後、現地の一般大学で勉強をしながら、日々、スーパーでワインを買い求め、味の違いを自分の舌で知っていく。まとまった時間ができると、スペインのワインの産地を巡って、土地の空気とも関係して変わる味わいや、作り手の個性を学んでいった。
「スペイン滞在中は趣味程度の気持ちでしたが、帰国後もワインへの気持ちは冷めず、本格的にワインについて知りたくなって、ワインスクールでのアルバイトや、ワインエキスパートの資格取得のための座学を始めたんです。こうして振り返ると、かなりワインにのめり込んでいたかもしれません(笑)。だんだんとこれを仕事にしたいと思うようになって、エノテカに就職が決まりました」
写真/ワインショップ・エノテカ(B2F):店内奥の「ワインライブラリー」には生産年によって味わいが異なるヴィンテージワインが集まる。特別な1本を記念日の贈り物に。
多角的なアプローチでワインについてのインプットを続けてきたが、様々な理由でワインを買いに来る、好みが千差万別のお客様への対応はまだまだ学ぶことが多い。同ショップのスタッフは全員がワインエキスパートの資格を持っており、詳しい先輩に囲まれる頼もしい職場だという。
「味の趣味がある程度決まっているお客様との会話のなかで、僕の提案がきっかけで、それならそっちにしてみようかな、と言っていただけるとうれしいですね。ネットでの買い物は、目当てを決めた買い物になりがちですが、店頭では、普段なら選ばない意外なチョイスや発見があると思います。ギフト需要がとても高いのもGINZA SIX店の特徴で、お客様が楽しく過ごす時間のお手伝いができるのは、とてもやりがいを感じます」
そんな戸川さんにとっての銀座は、家族とのお祝いの食事のために来る街だ。さらに、大学の卒業にあたって、今後なにかと必要になるスーツを買いに来たのも銀座だった。人生の節目の背景に、いつも銀座という街があった。
「お店や風景は少しずつ変わっても、いいものが揃う街の核は変わっていないと思います。やっぱり銀座は銀座、と思わせる風格があって、親など年齢の離れた人とのお出かけ先にもいい。“通”なイメージがある街かもしれませんが、同世代の友人とも入りやすくて、気軽にリラックスできるお店も多いんです」
写真 左/アロセリア・ラ・パンサ(中央区銀座1-15-8 銀座耀ビル 1F):コースの3品と魚介のパエリア。メニューは旬の食材によって季節ごとに変わる。 右/ブルーボトルコーヒー 銀座カフェ(B2F):バリスタが一杯一杯丁寧にコーヒーを抽出し、香り引き立つ。
現地での経験を積んだシェフによる本場の味を楽しめる「アロセリア・ラ・パンサ」は、大学時代の友人と食べに行ったレストラン。スペインの路地裏にあるような、肩の力を抜いてワイワイ楽しめるアットホームなお店だ。ボリュームのあるカジュアルなコースに好みのワインを合わせて盛り上がった夜は、今も戸川さんの心に残る銀座での思い出だそう。
「産地や品種によって異なる味わいや香りを楽しむという点で、ワインとコーヒーは、共通しているかもしれません。B2Fの『ブルーボトルコーヒー 銀座カフェ』は、本格的なコーヒーはもちろん、クリーンなお店の雰囲気も素敵です。あとは、6Fの『EATALY(イータリー)』にも行きますね。おつまみになるイタリアのハムやサラミを、友人宅への手土産にしたり。本場の味にも手軽にアクセスできるのが銀座の利点です」
エノテカでは、戸川さんをはじめ知識豊富なスタッフがワイン選びをサポート。どんな日に、どんな相手と、こういう料理と一緒に飲みたい、と具体的なシチュエーションを伝えてみると、きっと的確で新鮮な提案をしてくれるはず。
ーーーーーーー
◊ ◊ ◊
Person|原澤恵莉さん
shop|MARGARET HOWELL (4F)
Ginza Hangout|シヅカ洋菓子店 銀座5丁目店
◊ ◊ ◊
ありのままが心地いい
ナチュラル派が見つけた銀座
GINZA SIXが開業5周年を迎えた2022年の春に新しくオープンした4Fの「MARGARET HOWELL(マーガレット・ハウエル)」は、上質な素材で、着る人の生活を豊かにする洋服を提案し続けてきた英国のクロージングブランド。学生時代からブランドのものづくりに憧れていた原澤恵莉さんは、新宿伊勢丹本店での勤務後、育児休暇を経て、GINZA SIX店のスタッフとして復帰。話している相手をほっとさせる物腰の柔らかな口調の彼女は、「聞く姿勢」を大切に、お客様が話しやすいと感じてもらえるような接客を心がけているそう。
写真/マーガレット・ハウエル(4F):ショーウインドウや店内中央の棚は季節の移り変わりが特に感じられる。
銀座という都会の中心部で多くの時間を過ごしている原澤さんだが、田舎生まれというルーツもあってか、自然が感じられる場所や、ゆったりとした時間が流れている空間に親近感を抱くことが多いという。
「週に4日から5日、足を運ぶようになって実感したのは、銀座は、道幅にゆとりがあって、街の雰囲気も比較的落ち着いていること。そんな印象もあって、子どもと一緒に来やすい街だと思うようになりました。GINZA SIXはそんな街の特徴とも共通点があるような気がします。館内の通路は広々として、建物の真ん中に吹き抜けがある。おかげで、室内であっても開放感があるなあと。アートも美しいです。休日、どこかに出かけるとなったら、やっぱり子どもと一緒に行動することになるので、行き先選びは家族で気持ちよく安心して過ごしやすいかがポイントになっています」
写真 左/GINZA SIX ガーデンに通じる通路は絶妙な色の濃淡で生まれる市松模様の床が美しい。 右/小川のせせらぎのように、静かに水が流れる水盤エリア。
そんな原澤さんが、GINZA SIXの中でも特に、子どもと一緒にのびのびと過ごすシーンを想像できたというのが、屋上階にある「GINZA SIX ガーデン」だ。朝の7時からオープンして23時まで街に開かれている銀座最大級の屋上庭園は、近代江戸の庭園文化と西欧の広場文化を融合したランドスケープデザイン。四季によって表情を変える木々がいきいきと育ち、気楽に腰掛けられるベンチがあちこちに点在する。にぎやかな銀座の街を眺めながら散歩ができる回遊通路や、芝生のエリア、涼しげな水盤エリアに、360度木々に囲まれる森林ゾーンなど、歩けば風景の移り変わりが楽しめて、夜になると夜景も美しい穴場のスポットだ。
「休憩時間に行くことも多いですね。緑が多くて、本当に綺麗。とても気に入っています。奥のほうにもベンチがあって、ランチを食べ終わった後、ひとりでぼーっとしたり、小説を読んだり、夜ご飯を考えたり、自由に過ごしています。ランチ休憩は、なかなか貴重な“自分ひとりの時間”。有効活用したいなあと思いつつ、アクティブに行動するというよりは、気ままに過ごしたいタイプです。ちなみに、お昼ご飯は、B2Fの『ビオセボン』でおにぎりを買うことが多いです」
添加物フリーのナチュラルな食生活は、気をつかって意識しているというよりは、自分が素直に美味しいと感じるのが、素朴な味わいだから。手に取ったものがなんでも自分の好みにフィットしてくれるビオセボンは、原澤さんにとっては安心で、気持ちもウキウキするスーパーだという。
「銀座はリッチなイメージがあります。だから、そんな街での食事は、なんとなくハイカロリーなものが多いだろうという先入観があって。でも、探してみるとほっとできるお店もある。私はパンや焼き菓子が大好物なのですが、ある日、銀座をふらっと歩いているとき、素敵な外観に目を引かれて知ったのが、『シヅカ洋菓子店』の銀座5丁目店です」
写真/シヅカ洋菓子店 銀座5丁目店(中央区銀座5-7-10 EXITMELSA内1F すずらん通り沿い):予約で売り切れしてしまうこともある季節限定のクッキー缶。
材料の小麦やバター、砂糖は国産のもの。農薬や化学肥料を極力使用せず、地球環境に負荷の少ない栽培方法で育てられた原料から生まれる、焼き菓子や生菓子が並ぶすずらん通り沿いのショップは、2022年の4月オープンのニューカマー。最低限のシンプルな工程で、素材がもともと持っている旨味を最大限引き出し、ひとくちめから「あっ」と美味しい。
「大好きなクッキーを食べるのは、子どもを寝かしつけた後。お茶をいれて、ひとりでこっそりと(笑)。休日に出かけたときや通販で買っておいたものを、平日の夜に少しずつ食べるのが至福の時間なんです」
ーーーーーーー
◊ ◊ ◊
Person|油木我空さん
shop|N.HOOLYWOOD (5F)
Ginza Hangout|支那麺 はしご 本店
◊ ◊ ◊
背筋が伸びる大通りの品格と
ローカルな路地のいいとこ取り
5Fの「N.HOOLYWOOD(エヌ.ハリウッド)」の店頭に立つ油木我空さんは、お客様一人ひとりの目的に寄り添うことを第一に、お店に並ぶ一見シンプルなアイテムの真価をしっかりと言語化して伝えることを意識する真面目なスタッフ。
そんな油木さんのバックボーンになっているのが、古着への愛だ。一時期はギャバシャツを収集してフレアパンツを着るなど50〜60年代の装いに傾倒。ジャストで着る古着はビッグサイズが多い現行品よりも自分の体型に合ったのだという。古着を入り口にして、その時代に流行っていた音楽にも見識を広げるなど、オタク気質な好奇心を原動力に、ファッションとポップカルチャーのつながりを知っていくのが面白かったという。
「エヌ.ハリウッドのデザイナーである尾花大輔さんは、ブランドの立ち上げ前に古着のバイヤーをしていた経験もあり、軍モノをはじめ古着をソースとした洋服作りをしています。そのアイテムに触れることは、尾花さんが歴史をどう解釈し、過去に存在していたディテールをどのように現代的にアップデートをするかを見る楽しさもあるんです」
写真/エヌ.ハリウッド(5F):三方が開かれて入りやすいお店は、什器や小物にまで美意識が貫かれている。デザイナーの尾花さんが集めた真鍮のステーショナリーがズラリ。
エヌ.ハリウッドでの勤務は2年目だが、学生時代にアルバイトをしていたカフェも銀座だったので、銀座への通勤歴はなんと6年。「ありきたりかもしれないけれど」と前置きをしながら、銀座はやっぱり「大人の街」だと感じるという。それは年齢によって区切られる「大人」というよりは、物事の歴史についてよく知っている人が多いからだそう。
「これだけ長く銀座に通っていても、銀座に行くなら、と今も緊張感があります。身だしなみに気を配っている方も多いですし、自分の振る舞いや言葉づかいまできちんとしたいな、と思う街ですね。僕よりも前からブランドを知っていて、ずっと愛用してくださっているお客様もいらっしゃるので、いつも、学ぶ姿勢が大事だと思っています。聞いたことのない言葉があったらすぐに調べて自分なりに理解を深めたり、ちょっとしたことですが、自分のオタク気質を活かして調べたり、知ろうとするようにしています」
写真 左/GINZA SIXのB2Fより、地下鉄銀座駅・東銀座駅へダイレクトにアクセスできる地下通路。 右/支那麺 はしご 本店(中央区銀座6-3-5 第二ソワレ・ド・ビル 1F):清潔感のある店内と落ち着きのある暖色の照明で、男女を問わず、客足が絶えない人気店。
勤務後、先輩や後輩とサクッと夜ご飯に行きたいときはラーメン一択、という、リアルな銀座での過ごし方を教えてくれた油木さん。中央通りなどの大通りには、銀座の上品さが漂い、いい意味での緊張感があるものの、路地に入ると、肩の力を抜いて楽しめる店が軒を連ねているという。ちなみに、銀座通勤歴6年の油木さん曰く、銀座は地下通路が便利。雨の日や、目的地にピンポイントでアクセスしたいとき、地下を歩くのもスマートな移動方法だ。
「銀座とラーメン。もしかすると、意外な組み合わせだと感じる人もいるかもしれませんが、実は、美味しい店が沢山ある激戦区なんです。特にお気に入りなのは、『支那麺 はしご 本店』ですね」
昭和39年に開店し、都内に系列店を広げている老舗のラーメン店の看板メニューは、四川風の担々麺(だんだんめん)。花椒の風味と香ばしい胡麻のコクが細麺にからみ、箸が止まらなくなる。たまに、ふわっと香る柚子が上品なアクセントになり、スープの旨味が際立つ。付いてくるライスには、たくあんをどっさりのせるのが常連の定番だ。
「スタイリッシュな街並みや、格式の高いお店も銀座らしいですが、ショップのみんなとカウンターで楽しめるラーメンといった身近な選択肢も多く、仲が深まります。まだまだ行けていないラーメン屋さんはたくさんあるし、持ち前のオタク気質で銀座の街を知っていきたいと思いつつも、お気に入りが見つかるとそこにばかり通って同じメニューをひたすら頼んでしまう僕です(笑)」
ーーーーーーー
◊ ◊ ◊
Person|村井若菜さん
shop|SOPH. (5F)
Ginza Hangout|TORIBA COFFEE 銀座店
◊ ◊ ◊
ユニークな細部にグッとくる
奥深い文化が宿りまくる街
音楽やアート、スポーツといった要素を取り入れ、遊び心のきいたディテールと、機能性の高さに定評のある、シンプルな普段着を提案してきた5Fの「SOPH.(ソフ)」。アパレルでの勤務歴は7年目を迎えるという村井若菜さんは、銀座という街に集まる、多様な職業や趣味を楽しむ、豊かなバックグラウンドを持ったお客様とのコミュニケーションに刺激を受けているそう。
写真/ソフ(5F):全国どの店舗も試着室は畳。お客様もつい反応するユニークな和の要素だ。
学生時代には複数バンドを組み、現在の趣味は音楽、海外ドラマ鑑賞と映画鑑賞。銀座で好きな映画館は「TOHOシネマズシャンテ」。理由は、スクリーンごとに階が分かれ、ワインレッドのカーペットや、立ち見をしていた時代の名残が感じられる内観、やや暗めのロビーの照明などが歴史を感じさせるから。
「はじめまして、って一回しかないですよね。だから私は、何事もファーストインプレッション(第一印象)を大切にしたいと思っています。なので、気になる作品はなるべく映画館に見に行きます。大切な映画との出合いは、最大限集中して、臨場感のあるシアターで観たいんです」
体験の質を重視するカルチャー好きの村井さんの価値観とも通じるのが、GINZA SIXの5Fにある「DEVIALET(デビアレ)」だ。最先端の音響技術やプロフェッショナルを結集して生み出されるオーディオ機器は圧倒的な没入感とクリアな音質を実現している。ショップには、扉付きの視聴室が併設されており、ノイズの少ない自宅に近しい環境で澄んだ響きを体験できる。
写真/デビアレ(5F):視聴しているコンテンツがなんであれ、澄んだ音に360°包まれるサウンドバー。
「あと、コーヒーは挽きたてを飲むのにハマっています。これも、好きなものはいい条件で楽しみたいというこだわりかもしれません(笑)。去年、電動ミルをプレゼントでいただいて、それ以来、『TORIBA COFFEE 銀座店(トリバ コーヒー)』で豆を買っているのですが、美味しさだけでなく、エシカルなアクションを実践しているところもリスペクトしています。包装は簡素で気持ちよく、豆が切れてお店に行くたびに、自分もできることからサステナブルな選択をしていきたいと背中を押される場所です」
ショップがある1Fと吹き抜けで繋がっている2Fには、3種類の大きな焙煎機があり、世界各地から厳選された豆の個性に合わせた焙煎を行なっている。豆が転がる音や、煎りたての香りで満ちた店内もまた、村井さんが重要視する「臨場感」を感じられる場所なのだ。
写真/TORIBA COFFEE 銀座店(中央区銀座7-8-13 Brown Place 1F):定番のブレンドや、季節限定のコーヒー豆をはじめ、月ごとに変わる企画と紐づいたアイデアで生まれた、コーヒー以外のドリンクも充実している。
「銀座の敷居は、みんなが思っているほど高くないと思うんです。買い物も食事も、いろんなテイストやお値段の幅があって、気分によって選べる。それもあってGINZA SIXのお客様は老若男女を問わず、年齢層も幅広いですね。私自身は、休日にもよく銀座に来ているほうだと思います。遊べる場所も充実していて、品もある。みんなにも銀座に来てほしいので、遊ぶ予定ができると、銀座にしない?と積極的に提案しています」
ーーーーーーー
Edit & Text: Yoshikatsu Yamato
Photos: Reiko Toyama
ーーーーー
『GINZA SIX magazine』の
ほかの記事をチェック!
ーーーーー