特集「明日を変える今が時」
GINZA SIX magazine The Sustainable Issue
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GINZA SIX magazine Summer 2023|The Sustainable Issue
特集「The World of Tomorrow/明日を変える今が時」
2023年6月1日(木)から7月23日(日)館内にて配布中
※無くなり次第終了となります
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一冊に寄せて
年2回の発行でよちよちとお届けさせていただいてきた『GINZA SIX magazine』は、定期刊行化から5年目、おかげさまで10号目を迎えることができました。これまで様々に関わってくださった多くの方々やどこかで手に取ってくださっている読者のみなさんには感謝を申し上げたい一方で、地球環境の危機に対していよいよアクションを起こしていこうというGINZA SIXから今号のお題として真正面から差し出されたのは、「サステナブル」でした。とはいえ私自身はもちろんその専門家でもなく、移動にあたってはもっぱらディーゼル車を運転し、コロナが収束し忙しい日々が取り戻された結果、やむを得ずプラスチックに入った惣菜を買ってはゴミ出しの段階で罪悪感に苛まれる日も少なくないわけで、となれば、まずは自分が持続可能な地球の一員へと確かにギアチェンジできるように、今号ではこれまで以上に広きに新たにつながり、その活動や視点について耳を傾けるという、ある種、純粋な編集作業に努めました。
そんななか、一冊の冒頭で登場いただいた日本を代表する女性パティシエのひとりでインディペンデントな存在感もまた光る加藤峰子さんから取材場所にと提案があったのが、彼女のスイーツに欠かすことができない花々が息づく千葉県鴨川市の「苗目」でした。代表の井上隆太郎さんの勇敢な取り組みについては本文の通りですが、その畑やレストランとは別に、井上さんは農林業の縮小と環境維持の担い手不足によって荒廃し切った里山を買い取り、再生にも着手。伐採されぬまま聳え育った杉を自らの手で間伐し、周辺の草や花、足元の土へふたたび光を届けることで、里山に色とりどりの多様、たくさんの命が、数年をかけて蘇っていったといいます。
そんなひとつの風景が、切り倒された木々たちがよく見ると異質にも横たわる、表紙の写真です。たった1本の桜がまさに再生の象徴のごとく花を咲かせていますが、ほとんどは上部に集中し、低部の幹には、枝すら存在しません。井上さんは「ちょっと変なかたちをしているでしょ?」という問いかけとともに、その姿が陽の光が差し込まなくなった世界からなんとか太陽を得ようと、空へと枝を伸ばしていった桜の記憶そのものであることを教えてくれました。
他方で畑に視点を転じても、井上さんが実践するのは、農薬などを使うことで生物多様性を侵害する単一農業からの脱却であり、一種が害虫にやられても総崩れにならない多品種による自然農。この点に関しては、やはり冒頭での企画に登場いただいた建築家の元木大輔さんもまた「建築と街、街と施設の関係においても、新しいものを複雑につくらず、多様性を増やしていく方法」に言及。日本の脱炭素政策の一翼を担う藤野純一さんは「サステナブルにおいても、一つの手法でなく多様な取り組み自体が、街全体を強く底上げしてくれるはず」と提言を示していました。
すなわち失われ続ける自然環境からの教えは、本来はほとんど全てに通じる答えでもあったはずで、私たちは、それこそChatGPTに相手をしてもらうまでもなく、人類が当たり前のように悟り語り継いできた叡智を、いよいよ失う危機にあるのだろうとも感じてやみません。
地球の全ての命に、一人ひとりがそれぞれに届けるべき、光のために。明日を変える今が時。
GINZA SIX magazine 編集長
岡田有加
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